今季パ・リーグMVPに輝くなど大車輪の活躍を見せたソフトバンク・柳田悠岐外野手(27)が「4番」について本紙に語った。来季は40本塁打、40盗塁の「40・40」という前人未到の記録への挑戦を表明しているが、その先にある「4番」の階段も着実に上っている。

 今季、柳田は打率3割30本塁打30盗塁の「トリプルスリー」を見事に達成した。と同時に、王貞治球団会長(75)から課せられていた“4番になるための宿題”もクリアしていたのだ。

「4番打者というのは、ある程度の打率が求められる。そのために選球眼を磨いていかなければならない」。王会長からそんな課題を与えられていた柳田は88四球、出塁率4割6分9厘、得点圏打率4割1分3厘(いずれもリーグ1位)をマーク。選球眼のスキルをアップさせた上、打率3割6分3厘で首位打者に輝いた。満点回答といっていいだろう。柳田は「今季は自信を持って見逃せる球が多かった。経験とか研究したことが頭の中にあって、有利なカウントで狙った球をしっかり捉えられた」と「4番打者」への手応えをしっかりとつかんだ様子だ。

 ただ来季も4番は内川が有力。今季は8年連続打率3割を逃したが、勝負強い打撃で工藤監督の信頼は厚い。そんな内川も来季34歳を迎える。

 年齢的な疲労蓄積、ケガで離脱するリスクが、年々増していくことは致し方ない。5番・李大浩と6番・松田にはメジャー移籍の可能性があり、内川の有事や主力の去就問題いかんによっては今季不動の3番だった柳田が4番を務めることもあるだろう。

 これまで柳田は2013年に10試合だけ4番を経験。藤井打撃コーチによると、この時は「まだ4番としての気負いがあって、本来の打撃ができなかった」という。だが、王会長からの宿題をクリアした今は違う。柳田は本紙の問いかけに「僕は試合に出られれば、何番でもいいという考えに変わりはないんですよ。ただ、チームから『お前に4番を打ってほしい』と求められれば断ることはない。そういう準備をしっかりしておかないといけないと思ってやっています」と力強く語った。

 来季は40発40盗塁を目標に掲げるが、4番襲名の時期が迫っていることも確かだ。