巨人・高橋由伸監督(40)に“パンク危機”がささやかれている。6日に東京都内で開催された「東京六大学野球連盟結成90周年記念祝賀会」に出席。その中で行われたトークショーで楽天・星野仙一球団副会長(68)から、由伸監督が打ち出した選手との対話路線に強烈なダメ出しを浴びせられてしまった。連日のように各方面から異なる助言を送られていることで、新指揮官の頭脳がオーバーヒートするのではと心配の声が上がっている。

 会場がドッと盛り上がった。同祝賀会の中で行われたトークショーで慶大OBの由伸監督は明大OBの星野氏らと登壇。中日、阪神、楽天で指揮官を務め、数々の記録を作り上げた先輩格の星野氏から「40歳で若いというけれど、私は(中日の監督就任を)39で命じられた。1年余分に経験している。現役からすぐに監督という形だし、去年まで仲間だった人間(チームメート)に命令口調でやるのは難しいと思うが、まあ、しっかりやれ」とひとまずは温かいエールを送られた。

 しかし、その後は厳しい言葉も向けられた。司会者から「選手の個性を出すためには?」と問われた由伸監督が「私自身、若いですし、なんでもかんでも押し付ける時代ではない。意思を尊重しながら個性を出していくのが、今の選手に合っている」と発言。これに対して星野氏はやや苦笑いを見せながら「今の時代とは違いますが…。われわれは個性を尊重してという時代ではなく(選手が)殻を破ってきた。若い選手の話を聞いてやって、なんてことをやると…失敗します!」と断言。対話路線を敷こうとしている由伸監督の考えを真っ向から否定すると同時に警鐘も鳴らしたのだ。

 星野氏が監督時代に長年貫いてきたスタイルこそ「鬼の闘将流」。これを壇上で暗に推奨される格好となった由伸監督は「(自分が)『優しい』というのはいいところでもあり、悪いところでもある。星野さんみたいにはなれないが、厳しい自分も出していきたい」とタジタジになりながらも、素直に聞き入れる姿勢を見せた。

 星野氏は祝賀会終了後「今と昔は時代は違うが、基本は変わらないということ。(選手同士の)仲間だったら許せたけれども、自分もヘマをするんじゃないかと思ったことでも(監督になったら)言わなきゃいけない。線は引かなきゃいけないんだ」と念を押した。
 それにしても、ここ最近の由伸監督には助言が次々と“殺到”している。前日5日には盟友のレッドソックス・上原浩治投手(40)から「怒る部分はコーチに任せて…。ヘンに人間性を変えないほうがいい」と持ち前の「仏の精神」を貫くようにアドバイスを送られたばかり。その翌日、星野氏に180度違うことを言われれば当人としては「どっちなんだよ…」と混乱しても不思議ではない。

 さらに現場レベルからも、こんな注文まで出ている。「選手からすれば監督は『高橋由伸』という大スター。ひと言ふた言ボソッと言ってくれるだけで選手たちは大喜びしてヤル気になる。ちょっと言うだけで十分」とはコーチ陣の一人。“ささやき指導”の導入まで求めており、周囲はまさに言いたい放題だ。

「確かに新監督だから多くのアドバイスをされるのは分かるが、これだけ異なることを言われれば、さすがの高橋(由伸)監督も混乱してしまうのではないか」と心配する声が強くなっているのも事実。もともと頭脳明晰で「ブレない男」と言われている由伸監督だけに冷静に取捨選択するとは思うが、果たしてどうなるのか……。