
開幕前はV候補と言われながら、リーグ5位と低迷した今季のオリックス。その主軸を任されたのが、3年ぶりに日本球界に復帰した中島裕之内野手(33)だった。優勝への旗頭となるはずが、打率2割4分、10本塁打、46打点とまさかの不振に終わり、期待を大きく裏切った。もう同じ失態を繰り返すわけにはいかない。来季が3年契約の2年目。今オフは渡米して自主トレを行うなど「もう次は上がるしかない」と“反攻”に目の色を変える中島が、燃える胸中を大いに語った。
――日本に復帰し、1年目をオリックスで終えた感想は
中島:やりやすかった部分もあるし、そうでない部分もあるけど、元西武の原ちゃん(拓也)や(同じ伊丹市出身で旧友の)山崎(勝己)にいろいろと教えてもらった。2人と食事に行くうちに他の選手も一緒になったりしてね。練習環境もすごくいい。
――打撃成績については
中島:打ちに行く時に感覚的に「緩む」部分があった。ボールはよく見えているんだけど、見すぎてしまったり…。だからミスショットがあったり少しのズレがあったのは確か。中途半端な“間”と言うか、アメリカの投手と対戦してきてこっちに帰ってくると、感覚的にワンテンポ違っていて。探り探りやってきて、ごまかしてきた感じがある。春先は相手投手もガンガン来るからこっちも力入れてポンポン行けましたけどね。あとチームが連敗していたんで、流れを変えるような打撃をしようとしていたら崩れていきましたねぇ。
――4月は肉離れ、5月には腰痛で登録抹消された
中島:ケガしてる時も早めに(一軍に)呼ばれたり、万全ではなかった。(全力で)走れなくてもいいから、ということで…。完全に治ってなくて(患部を)かばいながらやっていたりでね。
――自分への腹立たしさもあった
中島:なんでこんなに打たれへんのやって…。自分が悪い。でもベンチで僕が荒れても他の若い選手に対していい影響ではないですからね。試合中は興奮しているから、イラッとくることもある。その気持ちを、終わってトレーニングして落ち着かせて、お風呂入って、リセットして家に帰る。それですぐ寝る。また明日、時間が来たら始まるんやから。
――中島流の切り替え法か
中島:西武時代からずっとそうですよ。自分のミスやエラーで負けて悔しい時なんかもすぐ寝る。起きていても余計なこと考えるし、テレビをつけたらスポーツニュースでそれをやっていたり…。寝たらすぐに朝になっているからその間は考えてないでしょ。そのクセがついている。引きずっていると、またその状況になるんですよ。
――守備も本来の三塁から一塁との併用に
中島:もうひとつ、リズムができなくてムズいというか、戸惑う部分もあった。できないかな、と思ってやることもあって、対応するのに必死なこともあった。一塁だと、けん制はくるし、内野からワンバンくるし…。落とせないから難しいなと。今は普通にけん制もタッチもパパッと早くいけますけどね。打つほうは打つほうで切り替えますよ。
――9月になって打撃がまた下降線に
中島:いつ打てるか分からんけど、全部ヒット打ったろうと思って打席に入っている。いい当たりをしてもアウトになることもあるし、ボール球なのに見逃し三振になることもある。その中で3割打てばいいシーズンになるんですけど…。3割に上げようと思ってやっていたけど、最後のほうは打率を見ていなかったです。どうせ一年間打率に追われるし…。とりあえずヒットを増やそう、100本にはしとこうと思った。打てなくても進塁打や、四球でも走者が進めるようになればいいしって…。
――チームも序盤から借金に苦しみ、まさかの展開が続いた
中島:去年がいい感じ(2位)だったから「今年は!」と山崎や原ちゃんから聞いていたけど、違う感じやった(笑い)。ケガ人が多くて、去年の疲れがあったのかもしれんし。優勝できるチームと聞いていたからねぇ…。
――でも十分狙える戦力はある
中島:それは思いますよ。僕も3年契約してもらってオリックスに入っている。優勝はもう、いつでもしたいですよ。このメンバーでビールかけをしたい。今年は最下位にいた時でも球場にいっぱいファンが来てくれていたでしょう。応援してくれる人たちがいてくれるうちに、来年、再来年で優勝したい。一年過ぎたことはもう変わらない。一回バーン、て優勝したら、その味を覚えて毎年優勝争いできると思うんです。
――やり返す気持ちしかない
中島:僕は今年がもうひとつやったから“来年やったろう”という気持ちが強い。(活躍を)見せないといけないからこの冬にしっかりやらないといけない。来春のキャンプ、開幕で違う自分を見せれるように仕上げてこようと思う。練習している中で“こうしよう”と、いろんなことを見つけようと思ってやっている。3回に1回打てば3割3分3厘、その確率を上げていきたい。
――結婚もしたし、公私で充実させたい
中島:そうですね。でもプライベートと野球は一緒じゃない。やるからにはねぇ…。今までで一番悪い数字なんで、これ以上落ちることはないと思う。最初に落ちてるから、あとは上げるしかない。“やったろう”思ってますけどね。
――燃えている
中島:優勝したいし、プレーオフをやって長く試合をやっときたい。野球やっている以上、誰よりも長くやっていたいんですよ。来年は10月から秋季練習をやるんじゃなくて、日本シリーズまで行ったら11月でしょ。そこまで緊迫した試合を続けて、終わったら“疲れた~”と言いたいですよ。みんないっぱい練習するから…そろそろね。