韓国に敗れた日本代表・侍ジャパンが20日、東京ドームで自主練習を行った。敗戦から一夜明け、小久保監督は「(昨晩は)眠れなかった」と吐露。継投が裏目に出て痛恨の逆転負けとあってショックは大きかったようだ。だが、ショックを受けているのは現場だけではない。周囲には屈辱の敗退余波が広がっている。

「もう、大変ですよ…」。まさかの敗戦から一夜明け、NPB関係者はため息をもらした。「野球国力ナンバーワン決定戦」と銘打ち行われた今大会。予選の5連勝1位突破を受けて日に日に盛り上がりを見せたが、準決勝の敗戦で一気に空気が変わった。NPB関係者はこう続ける。

「予選で期待が膨らんでいた分、ファンのみなさんを失望させてしまったんでしょう。あれ(韓国戦での敗戦)からNPBの電話にはクレームが入り続けています。『もう小久保を辞めさせろ!』とか『ふざけるな!』とか。回線はもうパンク寸前です」

 ちなみに決勝戦のチケットはすでに完売。もしも侍ジャパンが進出していれば“プラチナチケット化”は間違いなかったが、その価値も暴落だ。当然「決勝戦のチケットを払い戻してくれ!」との問い合わせもあったという。しかし「3位決定戦と決勝戦のチケットは通しチケットになっているので払い戻しはできない。何とか納得していただくしかないので説得しました」と別の侍ジャパン関係者は疲れきった表情で話した。

 また、あるNPB関係者はそんな世間の逆風についてこう話す。

「結局盛り上がりすぎたのがダメだったのかもしれません。昨年の日米野球は全6試合のテレビ視聴率が1桁(関東地区=ビデオリサーチ調べ)だったが、今回はドンドン上がって日韓戦は25%まで届いた(関東地区25・2%=同)。もちろん、ありがたいこと。でもその25%(の人たち)を怒らせてしまった。視聴率が1桁だったら、ここまで逆風は吹かなかったのかもしれない。皮肉なものです…」

 この逆風を受けて、小久保監督の“辞任”をめぐる混乱も起きている。

「もしも小久保監督を解任しなければならなくなった場合、誰がそれを決めるのか。NPBの中では『そういえば、そういう人事権、任命権は誰にあるんだ?』と話題になっている。小久保監督の就任はオーナー会議で決められたものだが、解任の最終的な決断は誰がするのか。それに、もしも小久保監督が“責任を取って辞任する”と言いだした場合に誰がその話を受けて、留任させるならばその説得をするのか。その辺がしっかり決まっていない」

 まさかの敗戦でパニック状態の侍ジャパン。第4回ワールド・ベースボール・クラシック開催は2017年春と残された時間は少ない。迷走したまま時間だけが過ぎることだけは避けたいが…。