これではどこも太刀打ちできない? 来季日本一3連覇を目指すソフトバンクは首脳陣の意識の高さも、他球団とは一線を画しているようだ。指導力向上のため、今オフから滑舌教室に通う予定のコーチがいる。

「選手に厳しく指導する人間は選手に負けないくらい努力しないといけない。どうしたら選手の成長を手助けできるのか。どんなに素晴らしい技術論を持っていても、伝え方が悪かったら伝わらない。声の強弱もそうだけど、話しかけるタイミングだったり、聞き取りやすいしゃべり方だったり。滑舌の良さって絶対大事だと思うんです」。そう語るのは倉野信次投手総合巡回コーチ(41)だ。聞き取りにくいわけではないが「滑舌が悪い」というコンプレックスがあるようで、すでに体験学習にも参加済み。オフに週1回ペースでスクールに通うという。

 現役時代から心理学の書籍を読みあさっていた倉野コーチはコーチングに役立つと思えば、著名な経営者や心理学の専門家などの講演を聴きに行くなど、とにかく熱心。「同じ指導をするにしても、言い方、聞き方、伝え方は選手の性格とかで変わってくる。毎日が勉強ですよ。まだまだ知らないことだらけ」と、独自の色を出して常勝軍団作りをアシストする。

 今秋、二軍投手コーチから工藤監督の肝いりで新設されたポストに“昇格”。一軍から三軍までの連携強化を図る上で重要な役割で、まさに指揮官の腹心だ。「全部を見るポジション。コーチ陣にもそれぞれ考え方があると思うし、意見の集約、伝達で難しい部分もあるだろうし、大変だと思う。でもそういうポジション。やりがいを感じて仕事をしていきたいです」

 選手だけでなく、コーチも常に向上心を持ち続ける鷹軍団。こんなところにも強さの一端が垣間見える。