プレミア12準々決勝(16日)で侍ジャパンはプエルトリコに大勝。日本は無傷の6連勝で19日の準決勝・韓国戦(東京ドーム)に駒を進めたが、死角はないのか。本紙専属評論家の伊原春樹氏が課題を分析した。

【伊原春樹「鬼の手帳」】あまりの実力差に、私はがくぜんとした。選手たちや小久保監督、コーチ陣は勝たなければいけないというプレッシャーの中で必死に戦っている。先発した前田の投球は見事としか言いようがない。菅野と投げ合った公式戦の時のような素晴らしい内容だった。しかし、出場したチームのうち“ベストメンバー”をそろえた国は何チームあるだろうか。日本と韓国ぐらいではないか。米国代表もメジャー一線級の選手は見当たらない。「プレミア12」をより格式高い大会にするためにも、再考の余地は十分あるように思う。

 この日対戦したプエルトリコもしかりだ。結果は9―3で日本が大勝したようにも見えるが、浮かれてはいられまい。この日登板した相手7人の投手は、球速表示を見る限りでは145キロにも届かない程度。暴投も相次ぎ、正直なところ、日本の一軍ではまるで通用しないレベルだった。

 日本にとっては、次戦となる韓国との準決勝が事実上の決勝戦となるだろう。接戦になることを想定すれば、この日のベンチワークにはいくつか気がかりな点があった。まずは0―0の初回に内野安打で出塁した先頭の秋山を一塁に置き、続く坂本が右飛に倒れた。その後、筒香の適時打で先制こそしたが、確実に1点を取りにいくのであれば坂本は送りバントでよかっただろう。同じようなケースは2点リードの4回にもあった。四球と相手の犠打野選で得た無死一、二塁で打席には秋山という場面。僅差であればシーズン最多安打のプロ野球新記録を作った秋山といえども、犠打という選択肢はなかったのか。2人ともシーズン中に犠打の経験もある。相手投手の調子を見ながらではあるが、韓国戦は細やかな野球も求められるだろう。

 走塁面でも同様のことが言える。3回一死一、二塁から6番平田の左越え二塁打で、一塁走者の中田が本塁でタッチアウト。中田の足を考えれば、本塁に突っ込ませる必要はない。三塁コーチャーズボックスの仁志内野守備走塁コーチが止めるべきだったが、経験を重視するならば奈良原ヘッドコーチを配すのも一手かもしれない。

 必勝が求められる代表戦。小久保監督ならば必ずや重圧をはねのけ、栄冠を手にしてくれると信じている。(本紙専属評論家)