新生・由伸巨人がいよいよ本格始動だ。高橋由伸監督(40)率いるチームは6日に秋季キャンプが行われる宮崎入りし、7日にスタート。意欲満々の新指揮官は、若手中心のメンバーをみっちり鍛える覚悟を示した。一方で、球団サイドは新体制を支えるための補強を着々と進行中。今オフはV逸で生まれた“余剰資金”を外国人選手につぎ込む方針で、あっと驚く大物の獲得も検討されているという。

 若さあふれる指揮官は、キャンプ開幕前日からヤル気満々だった。宮崎空港に降り立つと、出迎えた200人のファンを前にあいさつ。「新チームはすでにスタートしています。慣れ親しんだ宮崎で心技体すべてにおいてレベルアップできれば。当然、厳しいキャンプになると思います」と熱く意気込みを語った。

 メンバーは若手中心だが、それだけに鍛えがいがある。「監督になってみて、ふと思いついた」と、多彩な球種を投げ分けるバーチャル打撃マシンの投入を決めるなど、自身のアイデアも早速注入。原野球を継承しつつも“由伸カラー”をどんどん出していく構えだ。

 だが今季の戦いを振り返っても、若手の底上げだけでいきなり日本一奪回を目指せるほど、野球は甘くない。由伸新体制を支えるべく、球団も本気で補強に乗り出す覚悟でいる。さらにはそのための“資金”も、今オフは豊富に準備できる。

「今年は主力が軒並み不振だったからね。だいぶ年俸をカットできる。その浮いた分を全部というわけじゃないが、例年以上に外国人獲得につぎ込むことを考えている」(球団幹部)という。

 確かにこのオフは、杉内や阿部を筆頭に、年俸数億円を手にしていたレギュラークラスは大幅ダウンが確実な情勢だ。それによって生まれた余剰資金を助っ人補強に回せれば、これまで手が出なかった“大物”の獲得も検討できる。この日は四国アイランドリーグplus・高知でプレーしていた元西武のアブナー・アブレイユ外野手(26)と育成契約で合意したことが発表されたが、年俸500万円というから、これはまだ序の口だ。マイコラスに約3倍となる年俸200万ドル(約2億4000万円)の好条件を提示し、2年契約にこぎつけたのも“V逸資金”の力が大きい。

 球団は今後も国内外からまだ数人の新外国人獲得を目指す方針でいるが、なかでも力を入れるのが大砲補強だ。某フロントによれば「球団上層部からは『連れてくるならメジャーでバリバリの選手を』という大号令も出ている。具体的には、メジャーで2000打席以上立っている実績十分の選手を中心にリストアップを進めている。(メジャーで4089打席立った実績のあるDeNAの)ロペス級? いや、それ以上だろう」というから頼もしい。

 由伸監督にとっては、宮崎で若手がどう成長するかはもちろん、球団から届く“プレゼント”も楽しみだ。