【核心直撃】巨人打線復活のキーマンを直撃した。高橋由伸新監督(40)を中心とする新体制が始動したが、チーム再建に不可欠なのはリーグ最低の2割4分3厘に終わった“極貧打線”。その打撃部門の再生を託されたのが、内田順三打撃コーチ(68)だ。背番号24も超一流打者に育て上げた名伯楽は現状をどう分析し、どう立て直していくつもりなのか。その胸中は――。

 ――二軍打撃コーチから一軍を任された

 内田コーチ:一軍と二軍の違いは二軍は「作る・鍛える」、一軍はその選手を生かさなきゃいけない。得点圏打率はどうだったのか、1試合の平均得点はどれくらいだったのか。それも大事なことかもしれないが、今いる選手たちは「こんな数字じゃない」と思っている。ボールを長く見るとか、選球を良くするとか、もう一回原点に返るというか、シンプルに考えていこうと思う。

 ――今季の一軍の攻撃陣をどう見ていたか

 内田コーチ:バッティングは、みんながネガティブになっていたように思う。ネガティブな発想は連鎖する。「次は俺が打たなきゃイカン」と思うのと「よし、ここで俺が打てるんだ」という発想では全然違う。バントでも「失敗しちゃイカン」と思うのと「俺はこれだけ練習したんだから成功する」というのでは全然違うでしょ。難しいことだけど、ポジティブに持っていく。それが俺の年の功であり、俺の仕事だと思っている。

 ――7日からは宮崎で秋季キャンプが始まる

 内田コーチ:この秋は負けたからうんと練習をやるんじゃなく、(ネガティブな)発想を量で変えていこうと思う。

 ――由伸監督は生え抜きの阿部、坂本、長野に名指しでゲキを飛ばした

 内田コーチ:監督がそう言っているんだから、俺らはそれに応えなきゃいけない。どんどん鍛える。阿部と坂本はキャンプに行かないが、長野やほかの選手を鍛えることができる。彼らは覚悟を持ってくると思うし。

 ――若手だけでなく、長野やレギュラーも例外ではないと

 内田コーチ:そう。関係ない。質のいい選手もいるが、量で質を作ろうと思っている。(長野を)アーリーワークに連れていくかもしれないよ(笑い)。だからバッティングの練習はものすごく長くなるかもね。そこで選手に飽きさせないのも、こちらの仕事。昔かたぎの言い方をすれば「俺はこれだけやったんだから、結果が出ない方がおかしい」というぐらいの感覚を持たせたい。

 ――ところで、由伸監督は教え子のひとりだ

 内田コーチ:ん? この前、2人で話したんだけどね。(由伸監督が)「ボクが監督で内田さんがコーチで…。まさかこんなことになるなんて」って言っていて大笑いしたんだけどさ(笑い)。でも、これも人生だからね。何とか監督を自由に、自由な発想で動けるように支えていきたい。

 ――今後は遠征もある。秋季練習中から内田さんの熱すぎる指導に、体調面を心配する声も聞く

 内田コーチ:球団の方も体のことを心配していてくれていたね。ファームでは、たまに遠征に行くぐらいで基本的には残留組を見ていた。でも、まったく不安はない。俺は「もう68歳」じゃないから。「まだまだ68歳」だから!