【大下剛史 熱血球論】

 阪神の次期監督就任要請を受諾した金本について「カネはこれからが大変だろうな」というのが正直な感想だ。伝統と人気のある名門球団だからこその困難も予想される。何事もなく、体に気をつけて職務をまっとうしてくれれば…と、いらぬ心配もしてしまう。

 現役時代の金本は数々の故障やアクシデントを乗り越えて、世界記録となる連続フルイニング出場1492試合という金字塔を打ち立てた。その精神力が人並み外れて強靱なことは誰もが認めるところだが、監督として必要とされる強さは選手時代とは違う。チームは過渡期を迎えているだけに我慢をしなければならないシーンも多くなるはずだ。

 指導者経験がないことを不安視している向きもあるようだが、その点は心配ないだろう。そもそもそこがネックになるようなら球団もオファーを出さなかっただろうし、金本も引き受けなかったに違いない。以前と違って最近では現中日GMの落合氏をはじめ、日本ハムの栗山監督、ソフトバンクの工藤監督と、指導者経験がないまま監督としてチームを優勝に導いている。それが時代の流れなのかもしれない。

 いま、金本には「頑張れよ」としか言いようがないが、阪神並びに古巣広島のファンにはお願いしたいことがある。阪神ファンの皆様、どうか長い目で金本を見守ってやってください。そして広島ファンの皆様、金本がタテジマのユニホームで広島に帰ってきた折には、ぜひ温かく迎えてやってください。(本紙専属評論家)