中日・達川光男チーフバッテリーコーチ(60)が、2年契約の満了をもって今季限りで退団することになった。13日、球団が発表した。

 広島で監督経験を持つ達川コーチは、2013年オフの谷繁兼任監督就任時に落合GMの肝いりで招聘されて「ポスト・谷繁」の育成を期待された。今季はそれまで一軍経験のなかった杉山が64試合、桂が47試合に出場するなど、若手捕手をとことん鍛え上げてきた。しかし、正捕手を固定できなかったこともあって「谷繁監督の後のキャッチャーを育てられなかった」と責任を感じ、自ら辞任を申し入れた。球団側は慰留したが、達川コーチが固辞した。西山球団代表は「何もないところから芽は育ててくれたと思う。私自身も残ってほしいと思っていたが、本人との話し合いの中でそういう結論にいたった」と苦渋の表情で話した。

 これには若手捕手から「達川さんからは配球などの技術面の指導ももちろんあったが、一番は捕手としての心構えや精神面でいろいろ言われたことが印象に残っている。『とにかく投手を守れ! 1人にするな!』と口酸っぱく言われました。達川さんにもっと教えてもらいたかった」との嘆きの声が出ている。さらにチーム関係者は「はっきり言ってウチの首脳陣はこわもてばかりだからね。そんな中で、あの達川さんの軽妙な広島弁から時折飛び出す金言はチーム内でも一服の清涼剤となっていたのに…。あの達川節がもう聞けなくなるのは本当にドラゴンズにとって大きな損失だよ」とも…。

 達川コーチ退団が、来季の中日にどんな影響を及ぼすか気になるところだ。