澤村「無期限タクシー通勤」処分

2012年10月10日 11時00分

 6日の復活は、まだ“仮免許”の段階といったところかもしれない。巨人・澤村拓一投手(24)が6日のDeNA戦(東京ドーム)に先発し、5回無失点で6―0の勝利に貢献。8月14日以来の10勝目を手にした。新人から2年連続の2桁勝利は球団では66、67年の堀内恒夫以来の快挙。だが不振に加え、今月2日に人身事故を起こしたこともあって、立場は崖っ縁だ。さらに今回の事故で、球団から“処分”が科されていたことも発覚。右腕はこの苦境を乗り越えられるか――。

 原監督は「本来は先発させるつもりはなかった」と振り返った。今月2日に3人に軽傷を負わせる人身事故を起こした澤村に立ち直りの機会を与えたのだ。

 澤村が危機感を覚えていることは、これまで見せなかった投球スタイルから伝わってきた。「今日は絶対に思い切り投げないと誓っていた。無駄な力は使わずに6、7割で投げようと思っていた」。カーブを多投し、制球重視で5回を1安打無失点に封じた。

 原監督は胸の内をこう明かした。「(当初の先発予定だった宮国と)代えたわけですから、僕にも責任があった。ふがいない投球をさせるわけにはいかなかった。まだ合格点を与えるわけにはいかないが、これを機に、上昇のきっかけにしてほしかった」

 今季の澤村は、試合前まで9勝10敗と負けが先行。2桁勝利を前に4度も足踏みすると、今月に入り中継ぎ降格を言い渡された。その直後に人身事故。この日も打たれていれば“次”はなかったかもしれない。

 結果は出したが、まだ土俵際。原監督は2番手で2回無失点の宮国を「澤村よりも年齢は若いが、味のある投球をしてくれている」とあえて絶賛した。現状、CS先発枠争いで澤村の評価は5番手。中継ぎで起用される可能性もある。

 一方で事故に関しては、球団を通じて謝罪コメントを発表し、事態は落ち着きつつある。さらに“おとがめなし”と思いきや、きっちり“処分”が下されていたことも判明。チーム関係者によれば「球団から“無期限タクシー通勤”を厳命されている」という。

 確かに再び事故を起こせば、今度こそ“アウト”だ。「これ以上、野球以外の問題で評価を下げてもらいたくはないでしょうからね。お灸をすえる意味でも、球団としては当然の対応でしょう」(前出の関係者)。ただしチーム内からは「車好きの澤村の我慢がいつまで続くか。ストレスで爆発するんじゃないか」と心配する声も聞かれる。

 不安定な内面は、この日の試合後にも露呈した。質問が事故に及んだ瞬間、不機嫌になって会見を打ち切ったのだ。そんな様子を見ても、澤村に心の成長が必要なのは明らか。「CSではチームに貢献したい」と殊勝に語った右腕だが、まずは自分を抑えることができるか試される。