球界の暴露王・愛甲氏が限界告白した「野球賭博」の背景

2015年10月10日 06時00分

球界の裏側を本紙記者にぶちまける愛甲氏

 巨人・福田聡志投手(32)が野球賭博に関与していた問題が、球界内外に大きな波紋を広げている。そんな中「球界の暴露王」として知られる元中日・愛甲猛氏(53)が本紙直撃に激白。この問題が起きてしまった背景とは。これから球界はどうすべきなのか。自他共に認める“アウトローの専門家”が、疑惑の数々について限界ギリギリまでぶちまけた。

 ――今回の野球賭博問題について率直な感想を

 愛甲:正直、がっかりです。球界の先輩たちも同じ気持ちだと思います。野球が大好きで野球を始めて、野球でメシを食べさせてもらっている人間は、これだけは絶対に手を出してはいけないもの。それをやってしまったこの子(福田)を俺は許せません。

 ――ほんの軽い気持ちで手を出してしまったようだが

 愛甲:いや、ダメです。これは同情の余地なし。俺も清廉潔白とは口が裂けても言えない人間だし、やんちゃなこともたいがいしてきました。でも、これだけは手を出そうと思ったことは一度もない。俺以上に悪いことをしてきた先輩もいっぱいいるだろうけど、これをやったらおしまい。そういう意識はプロ野球人なら誰もが持っていると思っていた。野球賭博とは野球を冒涜(ぼうとく)するものです。

 ――黒い霧事件から長い年月がたち、今の若い選手にはそういう意識が欠如しているのかも

 愛甲:黒い霧事件のことは自分が若いころ、稲尾さん(当時のロッテ監督)から聞きました。選手全員を集めて「競輪、競馬にオートにマージャン。何をやっても構わない。ただ、野球人なら野球賭博だけは手を出してはいけない」とも。今の若い選手はそんなふうに言われたこともないのでしょう。今回の件ではいろいろな情報も耳にしましたが、根本的な問題はそこ。今の選手たちの野球賭博に対する意識が低すぎることだと思うんです。

 ――いろいろな情報とは

 愛甲:恐らくこの問題は、これだけでは収まらないでしょう。「これからもっと大きな賭博の問題に発展するのでは」という話も聞きました。野球界だけでなく、ほかのスポーツ界や芸能界、政界まで絡んでくる。もちろん暴力団絡みで警察もその実態をつかんでいるそうです。これ以上は俺の口からは言えませんが…。

 ――野球賭博について、何か知っていることがあれば

 愛甲:こんな話を聞いたことがあります。セ・リーグがまだ予告先発ではなかったころ、明らかにローテーションの谷間で予想が難しい時に限って、ドカンと大きな額が張られる。で、これは先発投手の情報が筒抜けになっているに違いない、と。大阪のハンデ師がプロ野球の大物OBだという話も有名ですね。

 ――暴力団関係者との接し方について、気をつけなければいけないのは

 愛甲:俺が実践しているもので「裏の人間とは知り合いになっても付き合うな」という言葉があります。酔っ払ってケンカした相手がヤクザだったという時に(裏の人間と)相談するのはいいけど、友達みたいに付き合うと、いいことなんて何もない。食い物にされて終わっちゃうぞ、と。それは肝に銘じています。

 ――今回の問題で違和感を感じていることは

 愛甲:驚いたのは、裏の世界の人間が野球選手に積極的に賭けさせようとして接触してきていること。以前なら情報をもらおうとして接触してきたもんですがね。このへんも野球選手が野球賭博に抵抗がなくなってきていることを表しているような気もします。

 ――最終的にどこまでいくと思うか

 愛甲:警察が山口組を野球賭博でガサ入れもしているし、そこで顧客名簿などが出てきたら、あそことあそこの球団あたりはやばいんじゃないかなと思っています。でも、中途半端な結論では、ファンは納得しないでしょうね。調査委の宮本(慎也)では絶対に調査できない人もいるだろうし、そこは本当の意味での野球界から離れた第三者委員会にしたほうがよかった。最終的には同じような問題で相撲界は無観客(相撲)までやった。巨人もそれぐらいはやってもいいのではないか。ただ…。

 ――何でしょう

 愛甲:今回の一件、裏社会のトップの人は騒ぎを起こした末端の人間に怒っているんじゃないかなと思うんです。あの世代の人たちは単純に野球が好き。「野球を汚すな」というファンの思いは、裏も表も変わらないと思っています。

☆あいこう・たけし=1962年8月15日生まれ。神奈川県出身。横浜高1年生エースとして78年夏の甲子園出場。3年生の80年夏に全国制覇を達成し優勝投手となる。同年秋、ドラフト1位でロッテ入団。3年間の投手生活の後、打者に転向。96年に中日に移籍、代打の切り札として活躍し、99年の優勝に貢献する。2000年に引退。535試合連続フルイニング出場は今もパ・リーグ記録。球界の裏側を暴露した著書「球界の野良犬」「球界のぶっちゃけ話」「球界への爆弾提言」(いずれも宝島社)などで球界を騒然とさせた。現在はタレント、解説者としてマルチに活躍中。ワイルドビジョン所属。

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