西武・秋山翔吾外野手(27)が1日のオリックス戦(京セラドーム)の6回一死から三塁内野安打を打ってシーズン215安打とし、2010年に阪神・マートンが作った214安打の最多記録を更新した。秋山は9回にも216安打目となる三塁打を放ち、レギュラーシーズンを終えた。今季は5、6月に史上2人目となる2か月連続での月間40安打をマークし、6月から7月にかけてはプロ野球歴代3位の31試合連続安打を記録。そんな絶好調の安打製造機にはオフの活躍にも期待が高まっている。

 この日は相手先発バリントンを攻略できず、初回の1打席目は遊ゴロ、3回二死走者なしの2打席目は空振り三振に仕留められていた。しかし、6回一死走者なしの第3打席でフルカウントからの7球目、143キロの直球を逆方向へはじき返して三塁内野安打。三度目の正直でマートンのプロ野球記録を超えると、9回にも左中間を破る三塁打を放ってシーズン最多安打記録を216に伸ばし、今季の戦いを終えた。

 ただ、本人は極めて謙虚だ。「光栄ではあるけどまだ実感はない。先輩方の上に自分の名前があるのは恥ずかしい気持ちもある」。前日9月30日の同カードでオリックス時代のイチロー(現マーリンズ)が1994年にマークしたシーズン210安打をクリアした際も「そうやって名前が出ることが申し訳ない気がする」と控えめだった。

 その謙虚な性格が練習の虫である秋山を支え、この偉業を成し遂げた原動力であることは間違いない。その一方でチーム内からは「オフの契約更改では謙虚な言動はやめてもいいのでは」という要望が出ている。

 近い関係者は「アイツの性格だからこれだけの偉業を成し遂げても更改では球団の言い値でポンと判を押すんでしょう。でも、野球人生でもう二度とないこんな年ぐらいは、ワガママになっていいんじゃないか。一度ぐらい提示額を突き返して自分が本当に満足のいく金額を要求しても誰も文句を言えないでしょう」とオフの粘り腰にも期待を寄せる。

 イチローがシーズン210安打を記録した94年オフは、契約更改で年俸が800万円から8000万円に跳ね上がった。秋山の年俸が今季の6200万円(金額はいずれも推定)から10倍増になるとは思えないが、これだけ活躍した秋山の契約更改は、チームメートにとっても“銭闘”の指標になる。プライスリーダーとしての奮起にも注目が集まりそうだ。