<ソフトバンク2-3楽天(9月30日)>工藤監督が“ノムさん化”だ。ソフトバンクは30日の楽天戦(ヤフオクドーム)に2―3で敗れて今季初の4連敗を喫した。7回に上林が一時逆転の2号2ランを放ったが、直後の8回に先発中田が痛恨の被弾。自らの10勝目をフイにした。すでに優勝を決めているとはいえ、ここ8試合で1勝7敗。いつもは冷静沈着な指揮官から、ついにボヤキ節が聞かれるようになった。

 1点を追う7回二死二塁から1番に抜てきされた上林が一時逆転の2号2ランを右翼席に叩き込んだ。好投を見せていた中田に報いる一発。だが、悲劇は直後の8回に起きた。10勝目前の右腕が逆転2ランを被弾。チームは今季初の4連敗だ。

 優勝決定後は4勝8敗と圧勝Vの反動が出ている。攻撃のキーマン・柳田を負傷で欠いているとはいえ、元気がない。盤石だった中継ぎ陣にも痛打を浴びるシーンが目立ち、ポストシーズンに不安をのぞかせている。指揮官にも変化が表れてきた。これまで聞かれることがなかったボヤキ節だ。

「残り試合の中で試したいことがあっても柳田がいない状況じゃ、やりたいことも何もできないよ」「サファテを使いたくても、その前に森が打たれちゃうから、使いたくても使えないんだよ」

 これまでは快調にVロードを突き進み、グチをコボしたくなるような状況も少なかった。現役引退後にキャスターなどを務めた経験から、メディアの影響力は熟知している。指揮官のマイナス発言がチームや選手のモチベーション低下につながることも理解していた。それでも最近8試合で1勝7敗という看過できない事態に、さすがの指揮官も黙ってはいられなくなったのだろう。

 幸いなことに「監督の発言や行動にはメッセージ性がある」とボヤキの意図は通じているようだが、結果が伴わなければ安心はできない。工藤監督が「消化試合とかそういうことじゃなく、一つひとつのゲームを大事にしないといけない」と危機感を募らせるのも無理はない。

 最大の目標は2年連続日本一になること。エンジン再点火が遅れれば、リーグ圧勝Vが水泡となりかねない。名将・野村克也氏はボヤキで選手の尻を叩いた。工藤監督の腕の見せどころだ。