阪神が、次期監督有力候補の大物OB・金本知憲氏(47)に近日中にも正式要請することを決めた。30日にも総帥・坂井オーナーと南球団社長が来季新監督への契約年数、条件面で会談。「三顧の礼」をもって迎えたい球団サイドは、金本氏に異例ともいえる最大5年もの“長期鉄人監督契約”を検討していることが判明した。

 次期監督問題について球団はクライマックスシリーズ進出を目指して戦う現体制に配慮し、これまで大きな動きを見せてこなかったが、30日にも行われる坂井オーナーと南球団社長の会談で有力候補の一人、金本氏への条件面等の案件を確認した上で、近日中にも正式要請することになった。

 2003、05年の阪神優勝の立役者となるなど輝かしい実績を持つ金本氏だけに「しっかりした条件を考えてオファーを出したい」(ある球団幹部)としているが、来るべき交渉カードの一つが契約年数だ。球界の常識では若手育成なども考慮されて「3年契約」が妥当。12年に就任した和田監督もそうだったが、今回の「金本新監督」には異例の「最大5年契約」まで検討されているという。

 ある球団フロントはこう話す。「ウチはよそと違って若手を育て上げるのが難しい球団。しかも今、ベテランが多く鳥谷らレギュラークラスはもう過度期に入っている。はっきり言うと低迷期で、前途は暗い。立て直しに3年じゃ、短い。本腰入れて5年はいる。だから、最初は勝利至上ではなく、若手との入れ替え、世代交代に丸2年かける。その時の投手陣はおそらく藤浪しか軸はいないから3年目から勝負して5年の間に優勝できればいいのではないか」

 どの監督にとっても難題の「育てながら勝つ」。特に阪神は常に勝利を求められる人気球団ゆえになかなか3年という期間では世代交代も推し進められなかったが、最大5年もとなれば金本氏もありがたい話だろう。他にも球団は誠心誠意を示すため、金本氏が望んでいるとされる、元広島の西山秀二氏(48)の入閣も容認する方向だという。

 ただし、金本氏に近い関係者は「まだ、本人は受けるかどうか本当に悩んでいると思う。条件面もそうだけど、もともと気遣いのタイプでスタッフの人選とか、何かと頭を痛めることは確実ですよ」ともいうが…。その金本氏はこの日、ラジオの解説でV逸した阪神に「9月中旬まで首位で後の15試合で失速した。(終盤は)他のチームより弱いかなというのは拭えない。敗因? あげたらきりがないというのが正直なところ」と手厳しい評価。果たして阪神からのオファーにどう回答するか、注目だ。