紀の国に清宮フィーバーが吹き荒れた。27日に「2015 紀の国わかやま国体」硬式野球の1回戦(紀三井寺球場)が行われ、早実(西東京)の“怪物1年生”清宮幸太郎内野手が登場。鳥羽(京都)に惜しくも2―3で敗れたが、清宮は4打数2安打と存在感を見せつけた。44年ぶりの当地開催に話題の怪物襲来とあって球場は記録的な大入り。“清宮女子”も登場するなど、清宮一色に包まれた。

 惜しくも鳥羽との古豪対決に敗れたとはいえ、試合後の清宮はすがすがしい表情を見せた。「あまりよくなかったけど、楽しんでできた。(甲子園と同じ)このメンバーでやるのが一番やりやすくて気持ちいい。のびのびやらせてもらって上級生には感謝しかない。甲子園にも行けたし、この経験は自分の中で一生忘れない。心に残り続ける。それをつないでいけるようチームを引っ張っていきたい」。さらに目標に掲げている2020年の東京五輪にも思いをはせ「自分もU―18の方々に負けないよう、20年に代表に入れるよう力をつけたい」と決意を新たにした。

 清宮人気は和歌山でもすさまじかった。この日は球場始まって以来の7499人の観衆が詰めかけ、徹夜組も800人を超えた。主催者サイドは和歌山県警に協力を要請し、50人態勢で警備に当たった。ファンの“襲撃”からガードするため、球場横に白いボードを並べたフェンスを設置。その中に移動バスを乗り入れ、選手に乗り降りをさせる対策をとった。

 地方球場とあって選手との距離も近く、ネット裏にかぶりつきで清宮に声援を送る“清宮女子”も多数出現。朝4時に来た和歌山市内の20代の女性は「眠いです…。でも声を掛けたら清宮くんがこっちを見て笑ってくれた。生意気なイメージがあるかもしれないけど、かわいい。強気なところも魅力だし、ホクロがチャーミング。宿舎にも行こうかな」とアイコンタクトができたことに大興奮。10代の女性も「清宮くんのファン同士、今日、友達になった子もいますよ。どんどんファンの輪が広がっています」と話す。甲子園大会やU―18などで声援を送っているうちにその場で意気投合。東京のみならず、関西にも“清宮女子”が増殖しているという。

 また、球場の外に立ち並んだ出店には「和歌山ラーメン 京橋 幸太郎」なる店も登場した。和歌山城近くにある店舗がフードエリアに出張。清宮と同名とあって興味を持つ客が後を絶たず、長打の列が作られた。店主も「(700円のラーメンが)300杯以上は出ている。(大盛況で)ありがたい。名前が同じなのは偶然ですけど、店の名前を背負ってるんで清宮選手には頑張ってほしい」と笑顔を見せた。

 その早実が初戦で姿を消したことで球場関係者は「今日も早実の試合が終わるとたくさんお客さんが帰ってしまった。明日以降どうなるか…」と心配顔。主催者サイドは警備態勢を継続させるというが、主役なき2回戦以降が不安視されるばかりだ。

「いつもの早稲田の(応援の)雰囲気とは違ったけど、たくさんの人が駆けつけてくれて、自分の野球に一喜一憂してくれた。こんなうれしいことはない」と清宮。今後は秋季都大会本戦(10月10日開幕)に向けて、さらなる飛躍を目指す。