中日は今季限りで現役を引退する谷繁元信監督兼捕手(44)と落合博満GM(61)の確執が明らかとなり、不穏ムードが続いている。そんな中で来季の一軍コーチングスタッフの大幅入れ替えがささやかれている。谷繁監督の意向をくむ形で、自身よりも年上の“落合派コーチ”が一掃されるのでは、というのだ。もっとも、落合GMがそれを認めないとの話もあり、予断を許さない。

 谷繁監督は白井オーナーに落合GMへの不満を訴え、来季も指揮を執るにあたり「自分の思い通りにやらせてもらえないか」と訴えた、とされている。「そもそも落合GMを決めたのはオーナー。その落合GMにたてつくということはオーナーにたてつくことと同じ。それは監督も分かっている。おそらく条件を出し、それを、もしも受け入れられなければ、辞める覚悟だったのだろう」(チーム関係者)。その際に指揮官がお願いしたのでは、とささやかれているのがコーチングスタッフの変更だ。

 谷繁監督が就任した際に自身の希望で連れてきたコーチはほとんどおらず、落合GMが監督時代に従えた“子飼いコーチ”ばかり。谷繁監督が選手兼任ということもあって経験のあるコーチがバックアップするとの理由だった。しかし、森繁和ヘッドコーチ(60)を筆頭に辻発彦野手総合コーチ(56)など“落合派コーチ”は、いずれも指揮官よりも年上で「自分の思うように采配を振れない不満があったようだ」と別の関係者は明かす。

 さらに谷繁監督には自身の頭越しに戦力外などを決定する落合GMへの不信感も募っている。その落合GMが連れてきたコーチとはやれないと思ってもおかしくない。球団幹部も「もともとは兼任だからとの理由で経験豊富なコーチ陣を揃えた。専任になるのだから、それらのコーチを外してくれというのもまっとうな理由だろう」という。実際に指揮官は親しい関係者に、自身が最も信用している「佐伯(二軍監督)と一緒に戦っていく」と話しており、佐伯二軍監督を一軍にヘッド格で呼ぶ構想を描いている、とも言われている。谷繁監督が続投となれば、それらの条件をのむことになる、というわけだ。

 もっとも、別の関係者は「コーチによっては(成績不振の)責任をとって二軍に降格ということはあるかもしれない。ただ森さんを一軍から外すことは落合GMは絶対に許さないはず」と話す。落合GMが監督のときから全幅の信頼を置き、現在も指揮官とは一切の連絡を取っていないが、森ヘッドとは頻繁に話し合っている。GMとして現場の状況や戦力分析をする上でも欠かせない存在だけに、そこだけは譲らない、というのだ。

 ホーム最終戦となった24日の阪神戦で、普段は顔を出さないナゴヤドームに落合GMがひょっこりと姿を現した。しかし、試合後、谷繁監督が行ったファンへのあいさつを聞くこともなく、8回ごろに球場を後にしたという。両者のバトルは果たして、どのような形で決着するのか。