ソフトバンクが17日の西武戦(ヤフオクドーム)に5―3で勝利。貯金47を作ってパ・リーグ史上最速となる優勝を飾った。この男の存在抜きに連覇は語れない。選手会長としてナインを引っ張ってきた松田宣浩内野手(32)だ。4回に2戦連発となる34号ソロを右翼ホームランテラス席に運んで追加点。ベンチ前では恒例の「熱男!」の絶叫が響き渡った。バットでの貢献度はもちろん、グラウンド外でも個性をフルに発揮し、チーム内外から称賛される存在感を放った。

 例年になくアゲアゲの雰囲気の中で、その中心にいたのが盛り上げ隊長だ。今や日本を代表する選手となった柳田でさえ「俺があの年齢になったときに、松田さんのようなことができるかというと、できないと思う」と感服するチーム一の声出し役。年齢的には中堅となったが、松田はライフワークのように毎試合こなし続けている。

 今年の球宴ではこんなことがあった。精鋭が集う全パのベンチ、グラウンドでも松田は普段と同じ振る舞いを見せた。すると他球団の選手やNPB関係者は「ソフトバンクが強い理由が分かった」と口を揃えた。数値化できない力が松田には備わっている。

 試合後、声がかすれていることは日常茶飯事。気持ちが入りすぎて、こんなこともあるという。「『よっしゃー』『来たー』って言うから打球を追うと、ファウルだったりするんです」(ある選手)。そんな一面も慕われる理由だ。チーム関係者は「結果が出ない選手や出場機会の限られた選手たちは、下を向くんじゃなくて『俺もちゃんとやらなくちゃ』と、松田の姿を見て思うはず。あんな選手は見たことないよ」と最敬礼する。

 歴史的圧勝Vの裏に、全試合、フルタイムでチームを鼓舞し続けた選手会長の存在があった。