阪神が11日の広島戦(甲子園)に0―3で痛恨の敗戦。今季14度目の零封負けで8月7日以来の2位に転落した。1か月以上も守ってきた首位の座を試合のなかったヤクルトに奪われ、ナインは意気消沈。例年「勝負の9月」に失速する“負の実績”があるだけに、残り試合が心配になる。そんな中、楽天の取締役副会長に就任した“あの方”から「激烈メッセージ」が届いた――。

 不惑のエース・黒田に8回まで散発2安打に抑えられるなど、終わってみれば何の見せ場もない零封負け。首位陥落となった和田監督は「どんな状況になっても常に、ここからだと思って戦わないといけない。残り17試合、いろんなことがあると思う。踏ん張りどころ? その通り。ここからだ」と悔しさをにじませながら前を向いた。

 2位転落のショックは少なくない。試合後、4番の福留は責任を感じて無言を貫くなど、ナインに動揺が走ったのは確か。これまで阪神は幸運にも他球団の「裏ローテ」の投手と当たることが多く、それで白星を稼いできた面もあったが、今後のV争いではヤクルト、巨人、広島のエース級の投手がやってくる。

 さらに、残り20試合を切って他球団と同率首位だったケースで、阪神は過去3度ともV逸したという不吉なデータまである。

 これを一笑に付したのが、2003年の阪神の優勝監督で、楽天の取締役副会長に就任したばかりの星野仙一氏(68)だ。「俺は今でも阪神が最後に勝つ(優勝)と思っている。心配なんかしていない。和田(監督)なら大丈夫だ。采配面で何かと言われとるけど、俺だって若い時、失敗は山ほどあった。気にすることはない。思い切ってやれば結果はついてくる」。優勝も最下位も味わった百戦錬磨の闘将がはじき出した結論は「それでも阪神優勝」だ。

 今春キャンプの訪問でも星野氏は「今年の阪神は優勝のチャンス。今年勝たないと当分は勝てない」と古巣にゲキを飛ばし、視察した5月27日の楽天戦(甲子園)の時も「監督が信念を持ってやること。若手も我慢して使わないと伸びてこない。いかに我慢できるか」などとハッパをかけた。そしてレギュラーシーズン大詰めの、このタイミングで最後のひと押しをかけるのが狙いのようだ。

「今年は巨人とか、どこも大変な状態。絶対に勝たんといかんし、今の阪神の選手の力なら勝てるんだから!」と、虎の10年ぶりVを断言した星野氏。この“激烈メッセージ”には阪神首脳陣も「そう言ってもらって、ありがたい。勇気がまた出てくる」と感謝しきり。ラストスパートに向けての力になりそうだ。