阪神は10日の巨人戦(甲子園)に4―5で惜敗。ヤクルトに同率首位に並ばれた。敗因は巨人・阿部慎之助内野手(36)に2試合連続アーチを浴びるなど大暴れされたこと。全盛期を過ぎたGの主砲に、虎は今季“カモ”にされている。巨人とのレギュラーシーズン残り3試合、さらにクライマックスシリーズをにらめば、一刻も早く苦手意識を払拭したい。その阿部封じの“刺客”に意外な男が指名された。

「最後まで追い上げようと、そういう気持ちで行ったんだけど…。あの2ランは、もったいない」。勝つか引き分けで宿敵・巨人の自力V消滅が決まる大事な試合を落とした和田監督は、0―2の6回、先発のメッセンジャーが阿部に許した15号2ランを嘆いた。終盤にゴメスら打線が粘りを見せ、1点差まで猛追しただけに落胆は大きかった。

 振り返れば、今季の阪神は阿部に何度もやられてきた。打率4割、4本塁打、12打点、18四死球。10日現在、阿部の成績は打率2割5分2厘、15本塁打、45打点だから、いかに阪神戦で打っているのか明らかだ。首脳陣の一人は「何でウチだけ阿部に打たれるのか。攻め方が悪いのか」と困惑。別の首脳も、阿部を打率1割台に封じ込んでいる中日、ヤクルトに着目し「今からでも参考にして徹底的に研究し直さないと…」と声を大にする。

 虎のレギュラーシーズンは、残り18試合で巨人戦は3試合。その先にはクライマックスシリーズが控えるとあって「阿部封じ」は何よりも急務。首脳陣が“刺客”として指名したのは今季、正捕手失格の烙印を押された梅野隆太郎(24)だ。

「阿部はもともと(相手のリードを)読んで打つところがある。梅野なら意外なところで強気の内角を攻めたりと何をしてくるか分からないから、阿部対策には、ぴったりじゃないか」(あるコーチ)。球団関係者も「梅野は1年目から阿部のリードを研究してきた。だからこそ阿部が、どんな読みをして打席に入っているか分かるはず。ピンチで阿部を打席に迎えた時の起用や巨人戦での先発マスクなど、いろいろ使い方はある」というのだ。

 今季の梅野は途中出場した6月14日のオリックス戦試合中のベンチで、和田監督から「こんなに点を取られて悔しくないのか!」と“公開処刑”を受けると、6月は出場なし。7月も2試合の出場にとどまり、同10日に2度目の二軍降格を命じられるなど逆風続き。現在は3番手捕手の立場だが、実際、この日は7回からマスクをかぶり、8回に阿部を空振り三振に封じた。「何とか追いつきたかった。明日に向けて頑張る」と梅野。今後は“阿部封じの刺客捕手”として存在感を見せられるか。