虎のエース・藤浪晋太郎(21)が9日の巨人戦(甲子園)に先発し、7回3失点。力投こそ演じたが、1点リードの4回に自らの一塁悪送球で同点に追いつかれるなど、本人にとっては白星つかずの悔しい一日となった。「自分が情けない投球をして野手の方に助けてもらいました。負けを消してもらった。感謝したいです」とうなだれたが、それも当然。この日は何が何でも勝ちたい“事情”があった。

 実はこの藤浪、2日の甲子園での試合前練習中に主砲・ゴメスが無人小型機「ドローン」を飛ばし、墜落させた「騒動」で球団からひそかに「注意処分」を受けていた。騒動当日はドローン所有者のゴメスが球団から練習中の規律違反を理由に「厳重注意」を受け、謝罪して一応の落着。だが、この時、藤浪もゴメスのドローンを借りて楽しそうに操縦していた。

 球団幹部がこう明かす。「本人にはマネジャーを通じて強く注意しました。(ドローンを)持ってきたゴメスが一番ダメだが、同じように遊んでいてはいけない。仮にも大事な時期での練習中だから。ゴメスがやってみろ、といったわけではなく、聞けば“自分から貸して”で飛ばしたとのこと。ウチの柱となる選手がこれではいけないが、本人もすぐに『申し訳ありません』と反省してました」

 誰よりも好奇心旺盛な藤浪だけに、ちょっとした遊び心に火がついたのだろうが、今季、リーグトップタイの12勝を挙げているエースという立場、チームのV争いも佳境に入った時期の行動としてはゴメス同様、褒められないのは確か。

 藤浪は「ドローン騒動」翌日の3日の広島戦に7回1失点で勝利。そして、この日、今季これまで4敗(1勝)している宿敵・巨人戦に投げ勝って「みそぎ登板」を“完結”しようと燃えていたわけ。残念ながら白星とはならなかったが、和田監督は「もったいない場面はあったが、引きずることなく切り替えて投げてくれた。気迫のこもった投球を見せてくれた」と評価した。