ヤクルトの山田哲人内野手(23)が6日の広島戦(神宮)の6回、今季30個目となる盗塁を決めた。

 2002年の松井稼頭央(当時西武)以来13年ぶり9人目のトリプルスリーを確実にしたが、その裏には2人の師との熱い絆があった。

 試合前の時点で33本塁打、打率3割2分9厘と他の条件はクリアしており、残りは盗塁だけだった。23歳での達成は1953年に西鉄(現西武)の中西太が20歳でマークしたのに次ぐ年少記録だ。

 大ブレークした昨季も打率3割2分4厘、29本塁打と申し分なかったが盗塁数は15止まり。マンツーマンで指導する杉村繁チーフ打撃コーチ(58)はシーズン前から「山田にトリプルスリーをやらせる。それだけの素質、力を持っている」と堂々と宣言し、愛弟子にハッパをかけた。

 一気に倍増した盗塁に関しては、三木肇作戦兼内野守備走塁コーチ(38)の指導により、飛躍的に向上。帰塁やスライディング技術に加え、走る意識を高めたことが、大台到達につながった。

 杉村コーチはこれまで青木宣親(MLBジャイアンツ)、内川聖一(ソフトバンク)と大打者を育ててきた。トリプルスリーは日本球界で過去8人しか達成していない大記録。それだけ難しいが、山田はそんな期待に応えた。

 さらに杉村コーチは昨夏も「本人が夏を苦手にしていたので“月間MVPを取るつもりでやってみろ”と言った」とタイトル取りを命じ、山田は8月の月間MVPを初受賞。睡眠と栄養摂取に注意を払い、今年も7、8月と2か月連続で同賞を受賞して苦手の夏を克服した。

 山田は「(30盗塁は)個人的に狙っていた。達成できて良かった。勝利のために走っている。毎試合大事なので、けがだけはしないように全部出場して結果を出したい」と会心の笑顔。チームの優勝に向け、今後も山田は走り続ける。