<中日5-0阪神(6日)>中日・若松駿太投手(20)が6日の阪神戦に7回無失点の好投で8勝目を挙げた。「ちょっと立ち上がりが悪くてファンの人をひやひやさせましたけど修正できました」とニンマリ。8月に4勝を挙げ、自身初の月間MVPを受賞した勢いそのままの投球で2桁勝利も見えてきた。

 将来的には「左の大野、右の若松」とローテーションの軸になってほしいとの期待もある。ただそうなるためにはポイントがあるという。それは「首脳陣がいかに若松を触らないか」(ベテランスタッフ)だ。

 若松の一番の武器は「特殊なチェンジアップ」(谷繁監督)。ストレートと全く同じ腕の振りからストンと落ちる。阪神打線もこの球を狙っていたが当てるのが精一杯だった。

 それだけに130キロ中盤のストレートの球速がもう少し増せばもっといい投球ができるのでは、と誰もが考える。しかし「ストレートのスピードはあのままで良い。あれで十分に緩急はついている。下手にいじるとあのチェンジアップの良さが消える」とスタッフは警鐘を鳴らす。それよりも放っておいたほうがよりよくなるとみている。

「自分で考えて伸びていくタイプ。そうじゃなきゃ、あの若さで『このままじゃダメだからチェンジアップを覚えよう』なんて発想はしないだろう。普通だったら鍛えて真っすぐを速くしようとか考えるよ。あいつは本人に任せてやらせたほうがいい」というのだ。

 久しぶりに中日に現れた新星。大きく成長していくか、フロックで終わるかは首脳陣にかかっているのかもしれない。