首位の阪神が6日の最下位・中日戦(ナゴヤドーム)に0―5と完敗。連勝は3でストップし、今季13度目の零封負けで2位・ヤクルトに0.5差に迫られた。この日の“戦犯”は不振で5番降格中のマウロ・ゴメス内野手(31)だ。再三の好機に凡退。日増しに球団からの風当たりは厳しくなっているが、本人も本紙に「阪神残留」を訴えるなど危機感を募らせている。

 前日5日の試合で3安打2打点と活躍したのは何だったのか。またゴメスがチームの足を引っ張った。

 初回一死満塁で力なく空振り三振するとその後も好機で凡退し、4打数無安打3三振と大ブレーキ。右手中指痛に苦しむ代役4番・福留が3安打と奮闘しているのにこの体たらくではシャレにならない。ゴメスは試合後、報道陣の問いかけには応じず、通訳が「今日は何もありません」と“代弁”したのみ。和田監督は「明後日(8日)からの戦い(巨人戦、甲子園)でガラッと変わってもらわないとな」と渋い表情で話した。

 打率2割7分5厘、14本塁打、64打点(6日現在)と数字こそ残しているゴメスだが、大事なペナント争いが佳境に入った中での不振劇に球団内の評価もガタ落ち。あるフロント幹部は「去年に打点王を獲得したことを思えば物足りない。相手の攻めがきつくなっても、もう少し工夫できるタイプと見ていたが…。来年の契約? 何も決まってはいない」と厳しい見通しを語った。

 そのゴメスがこの日の試合前、本紙に来季残留希望を熱く訴えた。「僕個人としてはここに残りたいと思っている。阪神で今、一緒にプレーしているチームメートも応援してくれるファンも、球場(甲子園)も好きだからね。甲子園でプレーできるのは気分がいい。最高の場所なんだ」。自信満々だった昨年にはなかった発言。それだけ危機感いっぱいなのだろう。

 2日、甲子園球場での試合前練習中に小型無人機「ドローン」を飛ばすという前代未聞の騒動で球団から厳重注意を食らい、昨年の来日以来、不動だった4番を外されている身だが「4番でも5番でも自分の気持ちは変わらない。今はそれ(5番にいること)がチームのためにいいことだと思う。とにかく今は自分のスイングを続けていくつもり。できることを全力でやることだけだと思っているから(5番ということは)気にしていない」とも殊勝に話した。

 4日に行われたナインだけの決起集会では「ドローン騒動」を含めて何かと励まされたゴメス。V奪回には欠かせない男としてこれ以上、ナインに迷惑はかけられない。