巨人が4日のDeNA戦(横浜)に8―7で競り勝った。リリーフ陣の炎上で8回に一度は逆転されながら、土壇場9回に相手のミスにも乗じて再逆転。激しいシーソーゲームの末、なんとか上位戦線に踏みとどまった格好だが、試合後の巨人サイドからは、DeNA・中畑清監督(61)への“感謝”の言葉が相次いだ。

 ハマスタが破裂したような大歓声に包まれたのは8回だった。まずは3点リードで登板した2番手のマシソンが、バルディリスにソロを許して2点差。さらに二死から2本の安打で一、二塁となったところで原監督はたまらず3番手・山口にスイッチしたが、その初球を梶谷に完璧に捉えられた。右翼スタンドへ飛び込む逆転3ラン…。ひと振りで試合をひっくり返され、静まり返る巨人ベンチを尻目に、DeNAサイドはお祭り騒ぎだ。一塁側ベンチ前では中畑監督が試合が決まったかのように、大ハシャギで跳びはねていた。

 それでも、簡単には終わらないのがこのカード。巨人は9回、先頭の代打・堂上がDeNAのルーキー守護神・山崎康から左中間へ二塁打を放ち、反撃を開始した。代走・鈴木をコールし、坂本が犠打。一死三塁で阿部の適時打であっという間に同点だ。

 ここで中畑監督が、巨人サイドも驚きの決断を下した。絶対的クローザーの山崎康をすっぱりあきらめ、三上にスイッチ。疲労が目立っていたとはいえ、山崎康は試合前の時点まで、巨人戦は今季9試合で防御率0・00で、巨人打者の多くが苦手意識を抱いていた。主力ナインによれば「正直、ビックリしたし、ラッキーだった。あれで『勝てる』というムードになった」という。

 浮足立つDeNAに守備のミスも出て、二死一、二塁となったところで最後は村田がしぶとく左前打。DeNAが守備固めで投入していた左翼・桑原の本塁送球がそれ、吉川が勝ち越しのホームを踏んだ。

 最終回、澤村が一死一、三塁の大ピンチを招いたが、ここでも中畑采配に助けられた。DeNAは捕手2人制を敷き、直前に嶺井をベンチに下げていたため、黒羽根に代打を送れない。結果、澤村が併殺で切り抜けて激戦に終止符が打たれた。

 試合後の原監督が「今日はやや、わが軍が上回った」とホッとした表情を浮かべれば、コーチの間からは「負けていたら、ショックが大きかった試合。中畑さんに感謝しないといけないね」との声も。

 この日だけは、まさに“キヨシさまさま”といったムードだった。