巨人は28日、湿っていた打線が奮起し、中日を7―0で下して今季ワーストタイまで伸びていた連敗を5でストップ。また、この日は期待のドラフト1位ルーキー・岡本和真内野手(19)も待望の一軍デビューを果たした。ただ、ライバル球団の熱い視線を集めていたのは、大物ルーキーではなく、あの“巨大助っ人”のほう。静かに復活した背番号21への、他球団の警戒レベルが高まっているという。

 久々にスカッとする波状攻撃だった。4回無死一、二塁で坂本が放った打球が左前へ抜け、チーム41イニングぶりの適時打、23イニングぶりの得点が生まれると、後続もたたみかける。アンダーソンの2点適時打、さらに村田が9号3ランを放ってこの回一挙6得点。中盤で試合を決めた。

 そして7回無死一塁の場面では、ドラ1ルーキー・岡本が待望の一軍デビュー。結果は二飛に終わったが、原監督は「生涯忘れられない打席になると思う。(守備では)三塁ゴロもさばいたし、いいスタートを切った」とにこやかに祝福した。

 ただし、岡本の昇格は、将来を見据え、一軍の空気を経験させることが目的。“救世主”と期待するのは早計だ。

 当然、ライバル球団もそこは承知。ネット裏のスコアラー陣も「岡本は穴も多いし、まだ粗削り。こんな時期にスタメンで使える選手じゃないでしょう」と関心は低い。それよりも、彼らがこの日必死に集めていたのは、二軍でくすぶる“あの助っ人”の情報だった。

 とはいっても、婚約者の出産を米国で見届け、先日再来日を果たしたばかりのカステヤーノス(29)のことではない。スコアラー陣の反応も「カステヤーノス? ああ、そういえば、そんな選手もいましたねえ」と、もはや“過去の人”レベルだ。

 むしろ意外なほど猛警戒しているのは、あの“最強問題児”のほう。「フランシスコ(28)が復帰したらしいじゃないですか。腰の状態は? 一軍にはいつ上がるんですか?」。セ球団の某スコアラーが大真面目に聞き回っていたが、確かにこの日の関東学院大とのプロ・大学交流戦で、フランシスコは「3番・DH」で再来日後、初の実戦復帰を果たしていた。

 結果は1打数1安打1四球。ただ実際のところ、二軍首脳陣の話では一軍昇格のメドは「まったく立っていない」という。それでも他球団スコアラーは「打撃に限れば、あの破壊力はやっぱり驚異。原監督はどこかで代打の切り札として、もう一度使うのでは…」と警戒心を崩していないのだ。

 長かった腰痛リハビリ生活を終え、ようやく実戦のグラウンドに現れただけでライバルの視線を独り占めにするフランシスコ。やはり、ただ者ではないということか。