首位・阪神は27日の広島戦(マツダ)に0―2で完敗。広島のエース・前田健太を打ち崩せず、手痛い連敗を喫した。中でも深刻なのが主砲、マウロ・ゴメス内野手(30)の不振だ。三振が目立ち、10試合連続の打点なしは来日以来最長。そんな主砲に対し、チーム内からは復調に向けて“脱・ラテン指令”が飛び出した。

 下位打線に今成、伊藤隼と左打者を並べ、初回からエンドランを仕掛けるなど、あの手この手の“前田対策”も不発に終わった。4日から始まった長期ロードの最後を2連敗で終えた和田監督は「マエケンはなかなか打てる投手じゃない。エンドランもバントも失敗があった。そこだな」とうなだれるしかなかった。

 この日も主砲のゴメスはブレーキだった。9回に辛うじて中前にポテンヒットを放ったが、ここ10試合での安打はわずか5本。勝負強い打撃でチームをけん引してきた主砲の不振に指揮官は「最後に1本出た。この時期は内容よりもHランプがついて変わることもあるから」と復調に期待を込めた。

 そんなゴメスの不振をオマリー打撃コーチ補佐は「いい当たりが正面を突いたり、ボール球を振ったりしてしまっている。今は打席でのリズムが良くない。そこを改善しないといけない」と分析する。ゴメスの打撃の重要な要素となっているのがリズム。打席ではバットを揺らしながらリズムを取り、投手とのタイミングを合わせてスイングする。試合前にはリズム感を養う意味も込め、お気に入りの赤いヘッドホンを装着し、大音量でラテン音楽を聴いて体を動かしながら集中力を高めている。

 そこに“待った”の声が…。ある球団関係者は「(打席での)リズムが良くないのなら、試合前のラテン音楽を変えてみるのもいいかもしれない」と忠告した。日本独特の暑さもあってバテ気味のゴメス。リズム感に“ズレ”が生じているなら、試合前の音楽を変更して気分を変えろというわけだ。

 とはいえ、何がゴメスにしっくりくるかわからない。そこで「古今東西、音楽に造詣が深い選手がうちにいる。藤浪だよ。藤浪にいい音楽を薦めてもらったらどうか」(球団関係者)。ギターを趣味に持ち、懐メロから流行歌、洋楽と様々な音楽に詳しい藤浪なら、ゴメスの“音楽セラピスト”にうってつけだという。

 試合後は無言で球場を後にしたゴメスだが、主砲の復調がなければ今後の首位死守は危うくなるばかり。エースの選曲が、主砲の危機を救うことになるかもしれない。