広島・前田健太投手(27)が27日の阪神戦(マツダ)で8回無失点の好投を見せ10勝目を挙げた。今季最多となる6チームのメジャー球団が視察に訪れるなか、白星を手にしたエースは「最近、エンジンが掛かるのが遅かったので今日は早めからいこうと飛ばしていった」と笑顔を見せた。

 苦しみながらも大台に到達した前田はオリジナルTシャツで自分と投手陣を鼓舞していた。チームが苦しい状況だった8月中旬、右腕は赤いTシャツに「No Rain No Rainbow」という文字と虹のイラストの入った特製Tシャツを作製し投手陣に配った。この文言はハワイのことわざで「つらいことの後にはいいことがある」という意味のもの。「好きな言葉なんです。頑張っていければいいと思って」。思うように勝ち星を挙げられない自分と波に乗れないチームのモチベーションを上げるために行ったのだ。

 これが投手陣の中で流行し、練習時にこのTシャツを着て汗を流す選手が続出。それ以来、チームは一進一退を繰り返しながらも浮上の兆しを見せつつある。球団史上4人目となる6年連続2桁勝利の達成にも「6年続けられたことはうれしいが、10勝は目標ではない。ここから上積みすることが大事」と意気込む前田。今後も“オリジナルTシャツ効果”でフル回転したいところだ。