【ズームアップ甲子園】第8日(13日)、20年ぶりの出場で1勝を挙げた下関商(山口)だが、東海大甲府(山梨)に1—9で敗れ春夏通算30勝はお預けとなった。2回に先発の森本が東海大甲府の9番飯塚に先制の2点本塁打を被弾。必死の継投策も実らず、中盤以降も失点を重ねた。

 意地を見せたのは0—6で迎えた7回だ。無死一塁から主将の佐々木が右前打でつなぎ、二死満塁から相手の失策に乗じて1点をもぎ取った。しかし、反撃はその1点のみ。それでも後悔はなかった。佐々木は「最後までハツラツとした下関商らしいプレーができた。満足です」と語り、涙はなかった。

 実父の佐々木監督にグラウンドで息子扱いされたことはない。「3年間控えかもしれない。それでいいなら」と言われて入部した。人一倍努力して、レギュラーの座をつかんだ。

 普段は寮生活で父とは離れて暮らす。常に監督として接し、会話も敬語だった。佐々木は「親子っていうのは、自分のなかでイメージないです。選手、監督の関係だったけど、厳しくしてくれてうれしかった」と振り返る。

 今後の父と子の関係について問われた佐々木は「どうしていいか分からないですね。これからは大人として、少しずつ将来について考えていきたい」と、はにかんだ。そして父である佐々木監督は「この(今大会での)1勝をステップに上昇できるようにしたい」と伝統校の再興に意気込んだ。