<ソフトバンク7-6オリックス(11日)>どこまで強いのか。ソフトバンクが11日のオリックス戦(ヤフオクドーム)の9回に4点差をひっくり返し、7―6でサヨナラ勝ちした。勝負を決めたのは柳田の22号3ランだ。日本ハムが負けたためマジックは2つ減って33に。ただ、工藤監督はここへきて選手のコンディショニング面で、かすかな“綻び”が見え始めてきたことに神経をとがらせている。

 敗色濃厚の9回に筋書きのないドラマが待っていた。点差は4点。マウンド上には佐藤達。しかし、鷹ナインは誰も諦めていなかった。「野球は二死から」の言葉通り、二死一、三塁から明石が四球を選んで満塁の場面から中村晃の2点打で点差は2点に。ヤフオクドームは「いける」というムードに包まれた。

 打席には柳田。「まさか回ってくるとは思わなかったけど、(テーマ曲の)『無責任ヒーロー』が聞こえてきてリラックスして、いけるかなと思いました」。カウント1―1からの3球目、147キロ直球を振り抜くと打球は右中間席に飛び込んだ。「信じられないって感じです。感触が良すぎて覚えていない。帰って余韻に浸りたいです」。柳田らしいトークにスタンドも沸いた。

 先週末のロッテ戦で14カードぶりに負け越したが、この日のサヨナラ勝ちでマジックは2つ減って33になった。これ以上ない展開だが、工藤監督は試合前からピリピリしたムードを漂わせ“コンディショニング注意報”を発令した。というのもチームに欠かせない主力2人に体調面の異常が生じたからだ。

 この日は、扇の要の正捕手・細川が9日の試合で痛めた右太ももが肉離れで出場選手登録を抹消された。また、4番で主将の内川が前日10日に休日返上で打撃練習を行った後に体調不良となり、試合前の練習を回避した。脱水症のような症状とのことで、福岡市内の病院で治療を行ってからの出場となった。

 指揮官は「本当は(故障が)出ないで済むのが一番いい。キャンプからコンディショニングと言い続けてきている。もっとトレーナーやトレーニングコーチが話しかけていかないと。選手は『大丈夫』しか言わない。肉離れもコンディショニングの一つ。コンディショニングを崩すことが一番よくない」と持論を展開し、トレーナー陣らにも改めて対策を徹底しているという。

 昨季は終盤に大失速し、最後は薄氷Vとなった。工藤監督は就任直後から「9月に全体のコンディショニングが落ちていた。下げさせない方法が必要になってくる」と明言してきた。わずかな隙が大痛手となる危険性もある。この指揮官の抜け目のなさが、工藤ホークスの強さでもある。