中日の守護神・岩瀬仁紀(40)の調子がなかなか上がらない。左ヒジの違和感のため、開幕からずっと二軍調整を続け、ここまで一軍どころか二軍戦での登板もない。すでにブルペンでの投球は開始しているが、そこからなかなかペースアップができない状態が続いている。10日、ナゴヤ球場のブルペンで直球ばかり49球の投球を行ったが「反動が出ないといいんですけど。何せ、日によって(状態が)全然違う。朝起きた状況だよね」と表情は冴えない。

 このままでは今シーズン中の登板さえ危うい状況だが、球団内からはそんな岩瀬について「もしも今年ダメだったとしても、あと2年ぐらいはきちんと面倒を見てあげるべきだと思う」(球団幹部)と復活に向けた猶予期間を与えるべきとの声が出ている。「岩瀬がこれまでどれだけチームに貢献してくれた? それぐらいは当然でしょ」というのだ。

 入団1年目の1999年にいきなり中継ぎで65試合に登板して10勝2敗1セーブの活躍。その後、2013年まで15年連続で50試合以上登板と大車輪の活躍を見せた。04年から抑えとなると、前人未到の400セーブも達成。そんな偉業を達成した男には“特例”をもって応えるべき、というわけ。

 今季は岩瀬に代わる抑えと期待された福谷がリリーフ失敗の連続で二軍落ち。又吉ら他の中継ぎ陣も不調でチームが最下位に低迷している要因ともなっている。そんな状況に森ヘッドコーチは「岩瀬がどれほど大変だったかということ」と話す。ここ数年は不安定な投球で評価を下げていた守護神だが、思わぬところで存在感を増している。