【ズームアップ甲子園】第97回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)が6日開幕。酷暑の夏に繰り広げられる球児たちの熱いバトルから目が離せないが、第7日に登場する優勝候補の東海大相模(神奈川)の二枚看板、左腕・小笠原慎之介(3年)と右腕・吉田凌(3年)は早くもやる気満々。小笠原が「2人で日本一!」と言えば、吉田も「2人で引っ張って相模を日本一に導く」とV宣言した。

 MAX150キロ左腕の小笠原は「球種の7割方が直球」というパワーピッチャー。MAX151キロ右腕の吉田は「藤川球児(四国IL・高知)さんのような浮き上がる直球が理想」と話す本格派。ともに今秋のドラフト候補であり「最高のチームメート」と認め合う間柄。東海大相模の二枚看板は、早くも気合十分だ。

「入学当初は、吉田のほうが知名度はあったんじゃないですか。だから追い付け追い越せ、で切磋琢磨できた。今の自分があるのは、吉田がいたからって言えます。2人で日本一になります!」と小笠原はきっぱり。吉田も「同じチームに小笠原がいる環境で野球をできていることは、間違いなく自分にとってプラス。高校生の左(投手)で一番の投手ですから刺激をもらってます。2人で引っ張って、相模を日本一に導く」と言い切った。

 近年、議論されることの多い「球数問題」。若年期の肩、ヒジの酷使が有望選手の将来を奪うと海外でも指摘されているが、ダブルエースがいれば、そんな心配も当然、軽減される。神奈川大会の準決勝(日大藤沢戦)では吉田が先発して7回コールド勝利に導き、翌日の決勝(横浜戦)では小笠原が完投勝ち。2人で計46回2/3をわずか2失点に抑え、激戦の神奈川大会を二人三脚で勝ち抜いてきた。

「1人よりも2人で長い戦いを勝ち抜いていくことは(自分たちの)将来のことを考えるとプラスに捉えられますよね」と吉田。小笠原も「自分が先発で行った時に(吉田が)後ろにいてくれる。すごい頼りになります」。炎天下での戦いにも全く不安はない。

 揺るぎない信頼関係と自信。ともに将来的なプロへの挑戦を夢見ながらも「進路は夏の大会が終わってから。この夏の結果次第で運命が決まる」と口を揃える。チームのため、そして自らの未来のためにも絶対に夏の頂点に立つ。東海大相模の二枚看板はそれしか考えていない。