首位の阪神が31日のヤクルト戦(甲子園)に10―8と勝利。今季5度目の4連勝で貯金も今季最多の4。先発した藤浪のまさかの乱調から敗戦濃厚だった試合をひっくり返しての劇的白星だ。まさに快調モードに突入した虎。その好調要因を探すと“あの人”の名前も…。

 最大5点差と敗色濃厚だった試合を4回にマートン、新井の2者連続弾などで追撃し、6回には福留の2点適時打で同点。8回はゴメスの押し出し死球で勝ち越し、続くマートンの2点適時打でダメ押しした。和田監督は「苦しい展開でも皆がひとつになって最後まで諦めずにやってくれた。首位維持? いつも同じセリフだけど順位に関係なく一戦一戦やるだけ」と言いながらも手応えは十分だろう。後半戦からチームは3カード連続で勝ち越して7勝2敗だ。

 そんな阪神の好調要因は2点。まずは2003年優勝監督で今も阪神に絶大な影響力を誇る楽天・星野仙一シニアアドバイザー(68)の言葉という。平田ヘッドコーチは「星野さんからはキャンプ時に『今年、阪神が優勝できなかったら、次はしばらくはない。これだけの戦力で勝てなかったらおかしい』とハッパをかけてもらったけど、その通りの状態になっている。巨人(の強さ)は去年ほどじゃないし、苦しんでいる。今、このだんご争いは異常だけど、だからこそ勝て、と言われているようなもの。主力がほとんどケガもなく元気でいる。まさに今年勝たんでどうすんの、だ」。この手の話をナインへのゲキとしてフル活用。これが、常時V争いができるまでの下地を作った闘将に「恥をかかせてはいけない」という危機感につながり、好結果を生み出している。

 2つ目は福留、安藤、福原、鳥谷ら優勝の味を知るベテラン組が「勝つってことはいかにすばらしいことか。あの時の優勝でチームの雰囲気は…」など“過去の優勝経験秘話”を頻繁に若手に伝えていること。ある首脳陣は「(福留)孝介なんかは特に江越らにこの世界での勝つ喜びを教えてくれている。俺たちは勝つんだ、と言ってくれている。われわれコーチはそれでその気になった選手をうまく乗せていくだけ。大いに助かっている」と話す。ベテランたちの舞台裏での働きがチームには大きなプラスになっているわけだ。

 歴史的「大混セ」でも絶好調の阪神。チームのムードは高まるばかり。この勢いで一気に突っ走る!?