巨人は30日、DeNAに2―1で今季初の2試合連続サヨナラ勝ちを収め、3連勝で今季最長ロードを終えた。20日からの大遠征を6勝3敗で乗り切り、首位阪神とは0.5差に接近。ようやく余裕が出始めた王者からは、落ち目の中畑ベイに向け、なんとも“上から目線”な発言がポンポンと飛び出した。

 同点の9回裏、二死一、二塁。この時点で原監督には自軍の勝利が見えていた。「こっちはまだ余裕がある戦いができる状態。(DeNAに比べて)兵も残っている。焦ることはない」と延長をにらみ、あえてベンチに堂上を残して鈴木をそのまま打席へ向かわせた。

 代走職人による決勝打という結末は“予想外”だったが、9回表二死一、三塁の場面でも抑えの澤村に代えて山口を起用するなど、この日は層の厚さを生かしきることにたけた原監督らしい采配が光った試合でもあった。

 前回の対戦で屈辱的な3タテを食らった相手にやり返し「同一カード3連敗していたし、そういう意味で大きかった」と指揮官。相手ベンチの駒運びを読みきっての勝利に、表情は「どうだ!」と言わんばかりだった。

 今季はビジターでの戦績が悪かっただけに、遠征前は誰もが「4勝5敗で乗り切れれば御の字」と口にしていた。首位奪還まではいかずとも、夏場の最も苦しいロードを6勝3敗で乗り切ったことで、チーム内もやっと落ち着き始めた。

 一方、前半戦を首位で折り返したDeNAは後半戦1勝8敗の大失速で、一気に首位と5ゲーム差の5位まで転落。そんな敵軍の惨状を見て、試合後の巨人からは「こんな結果になるんじゃないかと思っていたよ」とせせら笑いが聞こえてきた。

 スタッフの一人が首をかしげたのは、前半戦終了後のDeNA上層部の動き。「最初から上位に残れる戦力はないと予想していたけど、落ちてきたね。決め手はやっぱり中畑さんへの続投要請でしょ。南場さん(DeNAオーナー)には悪いけど、やっぱり若い球団。要請が早すぎたんだと思うよ」となんとも“上から目線”でDeNAの失速原因を分析した。

 また選手の間からも「上位チームは力があるし、優勝争いはまだまだわからない。でも、ベイのBクラスはなんとなく決まった気がしますね」との声が上がった。

 原監督は「明日のほうがはるかに大事な試合になる」と、かぶとの緒を締めていたが…。31日からは本拠地に戻って最下位・中日との3連戦。中畑ベイの苦境を笑っている余裕はまだないはずなのだが、浮かれムードのチームが心配だ。