巨人が28日のDeNA戦(松山)に11―3で大勝し、同カードの連敗を6で止めた。高校野球の神奈川大会を制した東海大相模OBの原監督率いる巨人に対し、DeNAは敗れた横浜のOBをズラリと並べて対抗。異様なムードの中で始まった“ライバル対決第2ラウンド”は、今季最多タイの11点を奪った巨人に軍配が上がった。

 試合前から坊っちゃんスタジアムの両軍ベンチは高校野球の神奈川大会決勝の話題で一色だった。今秋ドラフト注目の左右エースを擁する東海大相模と、今夏限りで勇退を表明している渡辺監督率いる横浜という地方大会屈指の好カード。多くの選手や関係者がインターネットで速報に一喜一憂しながら、試合の行方を見守った。

 注目の試合結果が伝わったのは巨人の練習終了直後。東海大相模OBの原監督、菅野、大田を始め、多くの東海大グループ関係者を抱える巨人では、優勝の瞬間に歓声が上がった。9―0の圧勝に原監督は「一つの目標である甲子園出場を果たした選手、門馬監督にまずはおめでとうと言いたい」と後輩たちを祝福。一方、退任する横浜の渡辺監督にも「我々と学校は違うが、恩師の一人と思っている。神奈川の野球界に強い影響力を持った、さんぜんと輝く方。ご苦労さまでした」とコメントを寄せた。

 だが、球児の活躍に沸いていた巨人も先発オーダーが発表されると気を引き締めた。石川、乙坂、筒香、倉本。DeNAのスタメンに横浜OBが4人も名前を連ねていたからだ。

 コーチの一人も「渡辺監督にはみんな恩義を感じているでしょう。筒香たちはいつも以上に気合が入っているはず」と警戒感を強めた。事実、中畑監督は「東海大相模といえば原監督。筒香ら横浜勢は、リベンジに燃えている。代理戦争だよ。ウチが勝つ形ができた」と息巻いていた。

 しかし、勝負はくしくも東海大相模と同じように巨人が圧勝。DeNA先発の久保に対し、巨人打線は序盤から牙をむく。2回までに8安打を浴びせて5点を奪うとトドメは4回。今季初の2者連続アーチとなる長野の10号2ラン、阿部の8号ソロなどで4点を追加し、久保をKO。投げてはマイコラスが7回4安打無失点の快投で、強力ベイ打線を完璧に封じた。

 これまでの鬱憤を晴らす猛打で今季最多タイの11点を挙げDeNAを下した原監督は、甲子園に臨む東海大相模の後輩へ「今年は相手をねじ伏せる試合展開が多い。甲子園でもかなり暴れられるんじゃないか。全国制覇? それを狙えるチームのような気がする」とエールを送った。

 圧倒的な力で神奈川を制した母校同様、巨人もここから王者らしい強さを見せて、混セを突き抜けることはできるか。