ペナントレースも後半戦に突入し、セ・リーグは首位から最下位まで4ゲーム差と大混戦となっている。一方のパ・リーグは、貯金24としたソフトバンクが2位を6ゲーム差と引き離して首位を快走。どこまで独走してゴールテープを切れるのか注目されている。そんなセ・リーグの今後はどうなるのか。本紙専属評論家の大下剛史氏が独自の視点で占った。(成績は23日現在)

 世間的にはセの大混戦を演出したのは巨人のもたつきが原因ということになっているが、果たしてそうなのだろうか。名前やキャリアがあるとはいえ、打の阿部や村田、投の内海、杉内といったベテラン勢の力の衰えは以前から分かっていたこと。むしろ、前評判がよかった割に、混戦から抜け出せない阪神と広島が混セの元凶だろう。

 両チームに共通して言えるのは「暗さ」だ。特に阪神は最大の武器である甲子園の熱狂的なファンの応援を味方にしきれていない。広島にしてもそう。「カープ女子」が流行語になるなど、周囲が盛り上がっているのとは対照的に野球が地味で、ウリであるはずの菊池と丸の“キクマル”コンビのタレント性を生かしきれていない。菊池の犠打数(35)が両リーグを通じてダントツなのは、その典型例だ。

 今年の巨人は決して強くない。原監督の手腕で何とか首位争いに踏みとどまっているが、どこにもチャンスはある。こうしたダンゴレースで勝敗を分けるのはベンチの采配であり、いかに指揮官が我慢できるか。その点、1年生ながら肝の据わっている真中監督が率いるヤクルトは面白い存在だ。先発投手陣に物足りなさはあるが、ロマン、オンドルセク、バーネットの救援陣はリーグでもトップクラス。復帰した親分肌の主砲・畠山が順調なら、抜け出しても不思議ではない。

 12連敗で一度は死にかけたDeNAも息を吹き返した。ベンチ内で応援団長にも三塁コーチャーにもなる中畑監督に選手たちが乗せられているという印象だが、この勢いはバカにできない。ルーキー守護神の山崎康がどこまで持つかという条件付きながら、夏の終わりまでお祭り騒ぎが続くようなら1998年以来のリーグ制覇も夢ではないだろう。

 バックに落合GMがついている中日も不気味な存在だ。このまま手をこまぬいているとは思えない。最下位といっても首位とは4ゲーム差だ。いずれにせよ、8月の終わりまでの戦いで雌雄が決すると見ている。