<広島8-5中日(21日)>豪雨が悪夢を洗い流してくれた。広島は21日の中日戦(マツダスタジアム)を8―5と逆転勝ち。同点の8回に無死一、二塁から降雨による54分の中断を挟んで竜投に襲いかかり、一挙3点を奪って勝負を決めた。先発・野村が4回途中5失点でKOされるなどチームのムードは決してよくなかったが、ナインの諦めない気持ちが天をも動かし、勝利を呼び込んだ。

 負ければ最下位転落の大事な試合で野村がまたも期待を裏切った。初回に遊撃・田中の失策を皮切りに二死一、三塁のピンチを招くと和田の先制3ランを被弾。味方が2点を返した直後の3回一死一、三塁からルナの遊ゴロの間に4点目を与えるなど波に乗りきれなかった。マウンド上で修正することもできず、4回には平田にソロアーチを浴び、なおも二死二塁のピンチを招いたところで降板となった。

 前回14日の阪神戦でも5回途中5失点(自責3)でKOされた。二軍には1日の巨人戦でプロ初勝利を挙げたルーキー・薮田など虎視眈々と出番を狙っている先発投手が待機している。結果を出さなければ、いつまでもチャンスをもらえるわけではない。4回途中5失点では二軍から出直しとなる可能性もあり、野村は「初回と3回の味方の得点後の失点でチームの流れを悪くしてしまった」と肩を落とした。

 いきなり3点のビハインドとなった打線は粘りをみせた。2回無死一塁からエルドレッドが「いいポイントでとらえられたし、いいスイングができたね」とバックスクリーン左に8号2ランを放ち反撃開始。再び3点差とされて迎えた4回には無死満塁のチャンスから梵、会沢の連続犠飛で2点を返し、7回には代打・野間が安打でチャンスメークすると「自分のミスでの失点があったので何とかしたかった」と初回に失策を犯していた田中が名誉挽回の適時二塁打で同点にした。

 8回に劇的な展開が待っていた。無死一、二塁から雨が強くなり試合は中断。54分間後に試合が再開すると梵が犠打を決めて一死二、三塁とし、球宴2戦目でMVPを獲得した会沢が右中間への2点適時三塁打を放って逆転に成功した。

 緒方監督は「この勝ちは野手の頑張り。前半戦にない形の勝利」と序盤に背負ったビハインドをものともしなかったナインをたたえた。

 今日22日はすでに2敗を喫し、対戦防御率0・39と抑え込まれている天敵・八木と相まみえる。この勢いで苦手克服となるか。