注目を集めた高校野球大阪大会の“初戦”強豪対決は、大阪桐蔭が履正社を5―1で下した。エース左腕・田中(3年)が1失点完投に3打点と投打に大活躍。投球については「正直、球が荒れていたし、調子は悪かったけど、テンポだけを気をつけていって粘れたと思う」と言い、打撃に関しては「初球から思い切って振っていこうと思った」。西谷監督も「田中はすごい球はないが、とにかく低めに集めて粘り強かった。夏バージョンの投球をしてくれた」と最敬礼だ。

 昨夏甲子園Vの大阪桐蔭と昨春甲子園準Vの履正社のいきなりの激突は、全国唯一、シード制を採用していない大阪ならではの組み合わせ。事実上の決勝戦とも言われ、舞洲ベースボールスタジアムには1万3000人が詰め掛け、熱気に包まれた。そんな中での大阪桐蔭の快勝劇だったが、ナインはいつも以上にプレッシャーとの闘いでもあったという。

 大一番ということだけではない。「3日ほど前にOBの中村さん、浅村さん、森さん(いずれも西武)の3人が、試合を見にいくとの連絡が西谷監督に入ったんです。(阪神の)藤浪さんも来るのは間違いなかったし、その前で、もしも負けたら4人のOBに恥をかかせることになる。余計、力が入りましたよ」(ある選手)。西武は20、21日とオリックス戦(京セラ、ほっと神戸)、阪神は20日から巨人3連戦(甲子園)とのスケジュールとあって実現した偉大なOB4人の観戦。ナインはそんな精神的重圧をも乗り越えて、白星をつかんだ。

 2014年の春以来、大阪での公式戦の連勝を「31」に伸ばした大阪桐蔭。難敵を退け、あとは黄金時代のPL学園でさえできなかった大阪大会史上初の4連覇、4年連続での夏の甲子園出場に向けて突き進むのみだ。