中日・谷繁元信監督兼捕手(44)が16日、名古屋市内で白井文吾オーナー(87)に借金8の最下位で終えた前半戦の報告を行った。1995年以来、20年ぶりとなる屈辱の最下位ターン。総帥から、さぞや厳しい言葉も飛び出すのかと思えば、約2時間にわたった会談はいたって和やかムードで「叱咤のような言葉は一切なかった」(球団関係者)という。

 実際、会談後の白井オーナーの口からは谷繁監督について「大変マネジメントがよろしい」「よく選手、コーチを見ておる。冷静に観察して判断しておる」「かっかしてもおかしくない場面で落ち着いた態度をとっておる」と礼賛の言葉が相次いだ。選手として、あと2試合に迫る3017試合のプロ野球最多出場記録に関しても「早くやってくれればいい。記録達成するとドラゴンズは強くなる。(采配に)専任できるからね」とエールを送った。

「首位とのゲーム差が小さいので期待しているよと申しました」と白井オーナーが話したように、最下位とはいえ首位・DeNAとはわずかに4ゲーム差。まだまだチャンスがある混戦ということが総帥のご機嫌を良くしている一因だろう。

 だが、そればかりではない。白井オーナーは「最近は若手選手が出てきて力を発揮している。状況は変わりつつあることは理解している。希望を持っている」と話す。野手では高橋周、遠藤、亀沢、桂、今は二軍だが、福田と若手が続々ブレーク。投手でも若松、小熊と若手が育ちつつある。「ウチはベテランが多い過渡期。そこにポツポツと若手が出てきた。でも(同じような状況の)巨人はかなり苦労している」と球団幹部の一人はいう。

 白井オーナーにとって絶対に負けたくない相手が巨人。「巨人にだけは勝て!」と大号令をかけたことは一度や二度ではない。巨人との直接対決はここまで6勝7敗1分けとほぼ五分。気分が悪いはずがない。総帥の「よくやっておる」のお褒めの言葉の裏には、そうした事情があるのだ。