阪神は15日の広島戦(甲子園)に0―3の零封負けを喫し、借金1の3位で前半戦を終えた。就任後初の首位ターンを逃した和田豊監督(52)は「今後も我慢の戦いは続く。どこかで抜け出したい」。そんな中、球団は今季限定の巻き返し策を用意。ナインに対して、これまでの報奨金に加えて“球団創設80周年特別報奨金”を振る舞うというのだ。

 前半戦最後の試合で今季9度目の零封負け。首位・DeNAに0.5差の3位ターンとなった和田監督は「これまで必死に踏みとどまってきた。後半もこういった(だんごの)戦いは続く。どこも抜け出したいのはやまやま。我慢、辛抱はまだ続くと思う。どこかで抜け出すチャンスを作りたい」と巻き返しを誓った。歴史的「大混セ」で迎える後半戦。V取りを目指す指揮官は「(前半戦は)ファンの方にも心配をかけた。後半は爆発させるようにしていきたい」とやる気満々だが、それ以上に今回、鼻息が荒いのが球団フロントだ。

 これまで球団は勝率5割以上から発生する「1試合勝利ごとの報奨金」をナインに分配。推定1試合100万円で、時のヘッドコーチが活躍した選手らの取り分を決めて手渡してきたものだが、球団創設80周年の今年はさらに新たな「V報奨金」が加わることになったのだ。

 ある球団幹部はこう言う。「今年はウチにとって優勝できる大チャンス。後半戦からは、いつもの報奨金だけでなく、このカードは特に落とせない、という3連戦ごとに別の報奨金も出す、となった。そこでいい仕事をした選手は通常のものに加えて、また賞金がもらえることもあるということ。今年は球団にとっても創設80周年の記念の年。何が何でも勝ってもらいたいから」

 名付けて“球団創設80周年特別報奨金”だ。本社、球団フロント、和田監督ら首脳陣がシーズンの行方を占う3連戦を「指定」して1試合に付き推定100万円が用意され、ナインに分配。例えば借金1で迎える後半戦開幕カード、20日からの巨人3連戦(甲子園)は当然「指定カード」で、もしも3連勝なら通常報奨金で300万円、80周年記念報奨金で300万円と合計600万円の大盤振る舞いとなる。

 しかも「大混セ」の今年は抜け出すチームがまだない以上、どれも大事な試合になってくる。「指定カード」が“乱発”されるのは明らかで、ナインには大きな発奮材料になる。

 すでに今年は和田監督が「いい仕事をしてくれたヤツには乱発する」と公言した「監督賞」も1試合最大100万円(殊勲者なしなら不可)とナインに分配されている。まさに大ニンジン作戦。これで勝てないなら恥ずかしい!?