巨人・高木勇人投手(26)がどうにも勝てない。先発した13日のDeNA戦(横浜)は、3回8安打5失点と打ち込まれ、今季6敗目(6勝)。チームも4―7で連敗を喫した。序盤の快進撃から一転、約1か月半以上も白星から遠ざかっているルーキー右腕に、前巨人投手総合コーチの川口和久氏(56)は、ベンチに“強制休養”を提言した。

 リズムをつかむ間もなかった。高木勇は初回、先頭の梶谷、続く松本に連続ソロを浴び、たった4球で2点を失った。

 両選手に痛打されたのは、どちらも宝刀“タカギボール”(スライダー気味のカットボール)。自慢の球を狙い打ちされて動揺を隠せないルーキーは、2回にも同じ梶谷、松本に連続適時打を許すなど、3回5失点。4回の打席で代打を送られ、プロ最短降板となった。

 打線は一時、1点差に詰め寄る意地を見せたが、序盤の失点は重かった。誕生日を勝利で飾れなかった右腕は「いろいろな方から声をかけてもらったのに悔しいです…」とガックリ。言い訳できない結果に、原監督も「(高木勇にとっては)プロの世界で何もかも初めての経験。今日に関してはメカニックが悪かった。制球が全部真ん中に集まっていた」と渋い顔だった。

 実はそんな高木勇について「今日は厳しい投球になる」と予想していたのが、解説のため横浜スタジアムを訪れていた前投手総合コーチの川口氏だった。同氏はここ最近のルーキーの不調について「球にキレがない。疲れているからだろう」と分析し「右打者はよくても、左によく打たれている。DeNAはいい左打者が多いから、抑えきれるかどうか」と不安視していた。

 終わってみれば、結果は川口氏が危惧した通りの展開。試合後の同氏は「彼はルーキーで、まだプロのローテを1年間回った経験がない。ここまで投げてきたことは立派だが、夏場を乗り切るのは大変なこと。今の彼には、体のキレを戻す時間が必要」と指摘した。

 だが、週末には球宴が控える高木勇には休んでいる暇がない。斎藤投手コーチは「それ(疲労)はもちろんある。でも、そうもいっていられない」と変わり身に期待した。それでも、川口氏は「絶対にローテを一度飛ばして体のキレを取り戻させるべきです」と強制的な休養の必要性を説く。

 二軍では小山や大竹らが一軍登板のチャンスを待っている。昨季まで、不振に陥った投手の再生には定評があった川口氏の“提言”を、巨人ベンチはどう聞くか。