阪神が9日の中日戦(甲子園)に延長11回、3―2でサヨナラ勝ち。最下位相手の同一カード3連敗を阻止し、勝率5割に復帰した。そんな中、相変わらずの不安定投球でベンチをハラハラさせたのが守護神・呉昇桓(32)だ。来季メジャー移籍も噂される右腕だが、メジャースカウトの「中間評価」もやはり…。

 延長11回一死満塁で中日・桂のまさかのサヨナラ捕逸で白星が転がり込んだ阪神。和田監督は「連敗していたし、今日は何としてもここ(甲子園)で勝ちたいという気持ちがあった」と話し、決勝のホームを踏んだ選手会長の上本も「どんな形でも勝てればいい。チーム全員でつかんだ勝利」と喜んだ。

 そんな中、心配のタネはリーグトップの22セーブ(9日現在)を挙げているものの、4度も救援失敗している守護神・呉昇桓。この日は9、10回に登板。何とか2回を無失点に抑え「今日は勝ててよかった。一番は点を取られないことだから」と話したが、10回には2四球を与え、満塁のピンチを招くなど相変わらずの不安定投球だった。

 呉昇桓は今季で阪神と契約が切れることもあり、来季メジャー移籍が噂されている。だが、メジャー球団のスカウトの「中間評価」は手厳しかった。「今の呉昇桓のままなら(メジャーの)どこも獲らないかも。阪神でいうと久保田がダメな時に似ている。一発を打たれてひっくり返されてしまう。球速150キロが出るといっても体感スピードがない。だから打者が差し込まれることがなく、バチーンと打ち返せるレベルになっている。それでも日本人なら抑えられるだろうが、メジャーではまず難しい」と、あるスカウトは酷評。

 別のスカウトも「今年は球の軌道が安定していないからフォーク、スライダーなど変化球も相手に見極められてしまう。真っすぐのタテの角度も悪い。フォームにしなりがないから何か“ぼたモチ”でも投げているかのよう。正直に言うと、こっち(米国)はいいリリーフが少ないから、呉昇桓に興味を持つ球団もあるとは思う。でも、是が非でも…とはならないし、高額オファーはまず期待できないでしょう」とばっさりだ。

 呉昇桓は常々「セーブ数を上げるよりセーブ失敗をなくすことが一番大事なこと」と言う。だからこそ、今の状態がいいとは思っていない。それでもメジャー球団スカウトの「中間評価」はショックだろう。メジャーへの思いがあるのなら、今後は完璧投球の連続で挽回するしかない。