【宇野勝 フルスイングの掟】混セの中で最下位に取り残されている形の中日だが、谷繁監督は、このところ、若手中心のオーダーを組んだり、いろいろ動いている。しかし、大島を4試合連続でスタメン落ちさせているのは解せない。確かに最近、打撃で結果が出ていなかったが、調子がいいから使って、悪いから下げるような選手ではない。チームのリードオフマンとして欠かせない選手だ。

 采配面では送りバントの多用が気になる。先頭バッターが出塁して無死一塁になれば、判で押したように送りバント。しかも初回からそういうシーンが目立つ。他チームはいろんなサインを出したり、普通に打たせたりしている。広島の2番打者・菊池が1日の巨人戦(東京ドーム)で、初回無死一塁で2ランを放ったが、ああいう積極的な姿勢が中日でも必要だと思う。高校野球ではなくプロ野球なのだからね。ファンだって初回から送りバントなんて野球は見たくないはずだ。

 少々、厳しいことを言ったかもしれないが、7日の阪神戦に快勝、首位とは4・5ゲーム差だし、最下位といっても悲観することはない。打線に長打がないのはつらいが、チーム打率2割5分8厘はリーグ2位。ルーキーの遠藤ら若手が出てきたことで野手陣の層は確実に厚くなっている。投手陣ではセットアッパーの又吉、クローザーの福谷に不安はあるが、先発ではこの日、6回無失点で2勝目を挙げた若松が出てきた。中継ぎでも、田島がフォークを覚えて去年よりもよくなっているし、高橋聡も頑張っている。

 今のセ・リーグは抜けたチームがいない。中日にもまだまだチャンスは十分ある。(本紙評論家)