阪神首脳陣が岩貞祐太(23)、秋山拓巳(24)ら伸び悩む若手投手陣に“メッセを見習え!”との大号令をかけている。不振&怠慢騒動で5月に二軍落ちしたランディ・メッセンジャー(33)だが、再昇格後は6戦で3勝負けなしと完全復活。この頼れる男が二軍時代にぶっ放した「怒りの言葉」を若手の教材にしたという。

 6日現在、貯金1で首位の座にいる阪神。和田監督は「順位は関係なく一試合、一試合大事に戦っていくだけ」と殊勝だが、最大の課題は若手先発投手の伸び悩みだ。4日のDeNA戦(横浜)で2年目の山本がローテの谷間の先発で初白星を挙げたものの、まだ計算するわけにはいかない。今季5勝のメッセンジャー、7勝の藤浪、5勝の岩田、5勝の能見に続く先発投手を確立できていないのが現状だ。

 8日の中日戦(甲子園)で今季初の一軍登板となる6年目の秋山は「しっかりアピールすることが大事です」と話したが、こちらは投げてみないと分からない代表格。ほかにも2年目の岩貞は4試合で1勝1敗、防御率4・76だし、同じく2年目・岩崎は5試合で0勝3敗、防御率5・40。5年目・岩本も5試合で1勝1敗、防御率3・86と、いずれも期待を裏切ってばかりで一、二軍を行ったり来たりしている。

 そんな状況に首脳陣があえて若手の“教材”にしたのが、5月に二軍落ちした際、怒り狂っていたメッセンジャーの次のような言葉だった。

「二軍に落とされたことは一番、腹が立つ。自分は(今年の)開幕投手で、昨年は(最多勝&最多奪三振の)2冠をとった。それを踏まえた上で自分を二軍に落としたということなので悔しさ、腹立たしさ、いらだちがある。悔しい。こんなところ(二軍)に(自分が)属するとは思っていない」…。

 首脳陣への不満に二軍侮蔑。いずれも、褒められるものではないはずだが、首脳陣はそこにメッセンジャーの復活にかけた意地を感じたという。そして「二軍落ちで悔しい思いをしてから、メッセは全く変わった。若手にもそういう気持ちは見習ってほしいところなんだ」と山口投手コーチ。あるコーチも「(今も)メッセは一時、自分の代役を務めたサンティアゴに対してもライバル心を出している。今の若手に足りないのは他の投手を押しのけてでも自分がローテをつかむという気持ち」と訴えているのだ。

 問題児だったメッセンジャーも、今や生きた教材。あとは若手が見習ってやれるかどうかだ。