巨人期待の大砲候補の一軍デビューはあるのか――。ドラフト1位ルーキーの岡本和真内野手(19)が6日、ジャイアンツ球場で行われた一軍全体練習に参加した。力強い打撃を見守った原監督は、確かな成長を評価。ただ、気になる一軍昇格のタイミングを巡っては、チーム内でも激しい議論が交わされている。

 名古屋での中日戦を1勝1分けで終え、8カードぶりに勝ち越して帰京したナインは、一夜明けて息つく暇もなくジャイアンツ球場に集合した。

 その輪にこの日は、ドラ1ルーキー・岡本と2年目の主軸候補・和田が加わった。キャンプ以来の一軍練習参加となった2人は、先輩たちに囲まれて緊張しながらも、約2時間の練習で首脳陣に成長をアピールした。

 序盤は阿部への個人打撃指導を行っていた原監督も、後半は2人の動きを重点的にチェック。練習終了後、期待のルーキーについて指揮官は「(岡本は)だいぶできるようになったという情報も(二軍から)来ていた中で、現状はどういうものかと。春に比べると成長している」と高く評価。即昇格は「考えていません」としたが「近未来という点では否定しない」と含みを持たせた。

 期待の若手がシーズン中に一軍練習に参加すること自体は異例ではないが、今回の動きの背景には、村田の長引く不振で高まる“岡本待望論”がある。チームスタッフは「監督が岡本を一軍に呼んだのは、一軍昇格の時期を本格的に測り始めたからですよ」と話した。

 一方、球団内部でも「岡本を一軍で見たい」という声は日増しに高まっている。ただ、高校通算73本塁打の看板を引っさげてプロ入りしたものの、岡本は公式戦でいまだ0本塁打。「現場に昇格を提案しようにも『さすがに0本では格好が付かない』という声もある」(球団幹部)と、そこが昇格のネックになっているのだ。

 ただし、見方を変えれば、たった本塁打1本で一軍への道が開ける状況ということでもある。この日、岡本に向けて原監督が「できる人は、1年も2年も3年もかかるわけがない」とハッパをかけたのも、「目の前にチャンスが転がっているのに、いつまでぐずぐずしているんだ」という歯がゆい思いからだろう。

 その岡本に0本塁打の現状を聞くと「(長打力が)長所で獲ってもらったんで、打てていないのは悔しい。焦ってはいませんが、早く1本打ちたい気持ちはあります」と控えめに意気込んだが…。ここのところ明るい話題の少ない巨人で、岡本の存在は数少ない希望。マイペースなルーキー以上に、周囲は“プロ1号”を今かと待ちわびている。