広島・野村祐輔投手(26)が5日のヤクルト戦(マツダ)に先発し7回2失点の好投で4勝目を挙げた。約2か月ぶりの白星をつかみ「最近はふがいない投球が続いていたのでチームの勝ちに貢献できてよかった」とニッコリ。この日ダメなら二軍降格濃厚だった右腕が復活したのは“教えて魂”のたまものだった。

 結果を出さないといけない右腕は黒田に「見せてもらってもいいですか?」とブルペン投球の見学を直訴。願いかなって捕手の真後ろという特等席で見たことで「黒田さんが言っていたのは『こういうことか』と分かった」と変化球の極意を発見し、この日の投球につなげてみせた。しかし、白星以上にチーム内では野村の向学心に称賛の声が上がっている。チーム関係者は「黒田さんにブルペンを『見せてください』と言える勇気がすごい」と目を丸くする。実際、若い投手らが物おじしているなか、堂々と黒田と投球談議に花を咲かせているのが野村だ。

 かつてはエース・前田から吸収しようと質問攻めにして「何でも聞くんだな」と苦笑いされるほど積極的だった。最近はそうした貪欲さは薄れていたが「他の選手から盗もうという意識が戻ってきたのがいいこと」(球団関係者)と、今回のことで周囲も復活を確信しているのだ。「やってきたことを信じて何とかそれが形になってよかった」と話した野村だが、今後も向学心を武器に白星を重ねるつもりだ。