巨人サヨナラ劇呼んだ原監督の男気采配

2015年07月01日 16時00分

ナインを出迎える原監督(上)

 巨人は30日、広島に2―1で逆転サヨナラ勝ちを収め、勝率5割に復帰した。打線は8年ぶりの対戦となった黒田博樹投手(40)に完封寸前まで追い込まれながら、原辰徳監督(56)の“男気采配”に打線が奮起。試合をひっくり返した。好投手を相手に、この日はあえて小技を封印して勝負を挑んだ指揮官。“ストロングスタイル”にこだわった理由とは――。

 

 黒田とはこの日が日本復帰後初対戦だったが、メジャー移籍前の2004年から07年までの4年間で3勝13敗と圧倒されたGキラーぶりは健在だった。打線は阿部を4番に据えるベストメンバーで臨んだものの、終盤まではまさに手も足も出なかった。

 

 ようやくつかんだ好機は、0―0の7回。先頭の長野が二塁打を放ち、初めて得点圏に走者を置いた。ここでベンチは2番・立岡に強攻策を指示したが、結果は最悪の一ゴロ。走者を進められずに無得点に終わると、8回に好投していた高木勇が丸にソロを浴び、一気に敗戦ムードに包まれた。

 

 それでも9回、無死から再び長野が安打で出塁すると、代走に鈴木を送って打者はまたも立岡。しかし、ここでも原監督は動かない。立岡が空振り三振に倒れると、G党からはため息が漏れた。だが、この強気の采配がドラマを呼ぶ。坂本、阿部の連続安打で同点とすると、最後は亀井が犠飛を放ち、鮮やかに黒田の手から白星を奪い返した。

 

 もし敗れていれば、試合のポイントは2度の強攻策失敗だったはずだ。川相ヘッドコーチによれば、9回無死一塁の場面も「特にサインはない状態だった」という。原監督は「立岡は(黒田に)タイミングが合っていたし、あまり小細工せずにいこうと」と説明したが、その表情からは特別な決意ものぞいた。普段「ベンチ主導の野球」が口癖の指揮官が、不動の構えを貫いたのはなぜか――。

 

 9回の黒田は疲れが見えていた。2度目の強攻策は、一気に2点を取りにいくための策だったとも考えられる。その一方、ベンチのスタッフは「それだけが理由ではありませんよ。黒田は監督が特別意識していた相手。『小技勝負では挑みたくない』という思いも少なからずあったはずです」と、その心中を代弁した。

 

 近年の原巨人は、細かいベンチワークで勝利を積み重ねてきた。だが、良くも悪くも小技に頼らない“男気野球”こそ、本来の巨人スタイルでもある。実際、球場の熱気は今季一番。チーム内からは「放っておけば、仕事をするのがウチの選手たちですよ」という声も聞こえたが…。原点回帰の力勝負で黒田から奪った一勝は、王者復活のきっかけとなるか。