ユニバーシアード大会(7月3日~韓国・光州)に臨む侍ジャパン大学日本代表とNPB選抜による壮行試合(神宮)が29日に行われ、大学代表は2―3で惜敗。それでも2番手で登板した田中正義(20=創価大3年)が最速153キロの直球とキレのある変化球で7連続を含む4回無安打8奪三振の快投を見せ、スタンドのスカウト陣をうならせた。

 186センチ、89キロの恵まれた体格。創価高時代は故障で投手をしていなかったこともあり無名だったが、大学2年時に一気にブレーク。この日は大学代表の練習中からNPB12球団の50人以上のスカウトたちがスタンドから熱視線を送った。西武の渡辺久信SDは田中について「来年の秋には目玉になる」。対戦したプロも田中には脱帽だ。田中の前に2打席連続三振を喫したオリックスの武田健吾外野手(21)は「正直打てないと思いました。角度があるし球のスピードが速い」と白旗を掲げた。

 当の田中は「大観衆の前は初めてだったので緊張したけど、先頭をフライアウトに取れたので落ち着いた。(三振は)追い込んだら甘くならないようにと思っていた」と淡々と振り返った。

 今回の壮行試合はNPBが推し進める侍事業の一環として行われ、平日ナイターにもかかわらず2万649人の観衆が集まった。事業会社である侍エンタープライズの幹部は「こういう試合からスターが出てくれればと思っていた」と狙い通りの結果に、してやったりの表情。また、在京球団のスカウトの一人は「実りが多かった。大学生がプロを相手にどれぐらいやれるのか分かったし、特に打者は普段は見ることができないナイターでの打撃を見ることができた」と語るなどこちらもホクホク顔で、プロとアマの交流試合は思わぬ相乗効果を生み出した。