広島のドラフト2位ルーキー・薮田和樹投手(22)が7月2日の巨人戦(東京ドーム)で一軍デビューすることが濃厚となった。当初は29日のユニバーシアード壮行試合にNPB選抜として出場予定だったが、メンバーから外れたことが25日、発表された。薮田自身はこの日、ウエスタン・リーグの中日戦に先発し5回1失点の好投。畝投手コーチは「そのうち可能性はあると思う」と話すにとどめたが、先発ローテ6人目の男になる可能性が高まった。

 まさに隠し玉だ。ファームでは8試合に登板し4勝1敗、防御率1.70の好成績を残しているが、右肩痛のため亜大4年時の公式戦での登板はなし。相手チームへの情報は限りなく少ない。初対戦に弱いとされる巨人打線は24日も、DeNAの19歳左腕・砂田に5回1点とてこずったばかりだ。「巨人打線が初物を苦手とする傾向はまだ続いている。真っすぐは150キロを超える本格派だが、投げ方が独特でそこもメリットになる」(チーム関係者)と、G倒への期待は膨らむばかりだ。

 また、ハートの強さも大きな武器となる。リーグ戦再開前の16、17日と一軍の練習に初参加。普通のルーキーならば先輩たちに囲まれて物おじしそうなものだが「分からないことは先輩選手にハッキリ聞いていたし、首脳陣が見守るなかでの投球練習でも力むことなく自分の持ち味を出せていた」(同関係者)。そんな度胸満点なところも評価され、敵地での巨人戦がめぐってきたというわけだ。

 大学時代の故障もあり即戦力というよりは2、3年先の活躍を見込まれていた薮田だが一躍、チームの救世主になるかもしれない。