四国アイランドリーグplusの高知・藤川球児投手(34=前レンジャーズ)の今季中のNPBマウンド復帰はあるのか。阪神、DeNA、楽天、ソフトバンクの4球団が視察する中、日本再デビューとなった20日の香川・徳島連合軍とのオープン戦。先発した藤川は4回を1失点に抑えてみせたが、かつての“火の玉ストレート”は影を潜めた。そんな藤川に“ダメ出し”したのが、広島OBで同リーグ・香川の西田真二監督(54)だ。

「1試合ごとのスポット契約」で果たした日本球界復帰戦は、MAX146キロで、大半の真っすぐが140キロ台前半。あとはスライダー、ツーシーム、米国で覚えたカットボールなど変化球を多投しながら“格下”相手に5安打を許した。藤川は「今日は久しぶりの日本のマウンド、ボールの感触を確かめた。これから状態も良くなる。4回投げたのも課題を設けたかったから」と手応えを口にしている。

 2013年にトミー・ジョン手術を受けた右ヒジの状態が良好ということもあり、ネット裏で視察したDeNA・小林スカウト担当は「順調に回復している。あれだけの投手だし、また見たい」と絶賛して獲得に色気を見せた。しかし、球児らしさが見られなかったことで“ダメ出し”したのが、相手ベンチで采配を振っていた香川・西田監督だった。

「どう、と言ってもまだ、真っすぐが来てないでしょ? 球児の場合、真っすぐで三振を取れるかどうかがカギで、まだ取れない。球に伸びがない。ここをNPBは気にすると思う。それを見せないといけない。今日の段階のままなら(NPBからのオファーは)厳しい。150キロをバンバン投げていたのに、今は140から145と落ちていたことは一つのポイントになる」

 西田監督は「先発するより、短い1イニングのセットアッパーなら(今の)持ち味は出るんじゃないか」とも見ているが、一方で「57球を投げた肩ヒジの回復状態を見てみないといけない。NPBがどうするかはわからんが、球児がそれを目指すなら次の試合(27日)から3試合ぐらいでどれほど精度を高められるかにかかる。ずーっとここ(高知)にいるなら(藤川の)賞味期限は切れる」と断言。藤川の力を知っているだけに辛辣な言葉を並べた。

 阪神OBで高知の弘田監督も藤川の早い時期でのNPB復帰を望んでいる一人だが、「ロッテのエースだった村田兆治さんだって手術して復活まで丸3年かかった。球児にしても簡単なものじゃない。いきなり全盛期の時を求めるのはかわいそうだ」と前途は厳しいと見ている。

 20日の試合後、報道陣の「NPBスカウトの存在は気になるか?」の問いかけに「全然ない。誰がどう見るかとか、評価をもらうために投げてはいない。グラウンドで精一杯やることが大事」と話した藤川だが、本音は…。西田監督の指摘は藤川自身が一番分かっているはずだ。